2007-12-01から1ヶ月間の記事一覧

単純

今日は素晴らしい晴天で、玄関のドアを開けて歩き出したら、午前中の透明な日差しが上から垂直に地平に対して降り注いでおり、その上の景色全てがなまめかしく新鮮に僕の視界上にいちいちあらわれ直すので、体を包む冷気の厳しさと喜びが混ざり合って、自分…

「銀座化粧」

DVDにて。1000円で売ってるのを買ってあったのだが、どうも最近田中絹代の出てる映画ばかり観てるような気がして、やや飽き気味というか新鮮さに欠ける気がしたためしばらく観ないで置いてあったのだが、とりあえず昨晩観た。何度も観た同じ女優でも…

「エターナルサンシャイン」

今年話題になった映画だという事をどこかで聞いて借りてきた。(間違い。後で確認したら借りようとしてたのは「リトル・ミス・サンシャイン」というタイトルだった。)でもまあこの「エターナル・サンシャイン」を観れて良かった。とりあえず「うおー面白いね…

だらだら

連続する忘年会に律儀にも毎日出席している。なんだかなあと思いながらもわざわざ距離をとるのもあれだしまあ単にのむ事自体に淫していればそれで良いのだと思って、っていうか単にのみたい誘惑に逆らってないだけで、本当にだらだらと連日椅子にもたれてだ…

偉い人/面白い人

大体において人は、自分自身のために頑張るとか、自分を信じるとか、そういう風に考えて生きるのは、なかなか困難なのだ。それよりは、誰かのためになっているとか、役に立ってるとか、必要とされてるとか、そういう予感を糧として生きているようなものなの…

「風櫃の少年」

はじまって一分か二分で、もうこれから、この映画の世界で起こるすべての事を受け止めるのだという喜びと強い期待感に満たされるほど、風櫃(フンクイ)という土地の風景がすみずみまで本当に良い。物語は、血気盛んで愚かでかわいい少年たちのお話なので、…

「サーカス五人組」

成瀬巳喜男1935年の作品をCSにて。音楽というものの高揚感、悲壮感、滑稽さ、物悲しさ…演奏される楽曲がどれも切なく美しい。5人衆の醸しだしてるよるべなき流浪の感じがとても良い。サーカス一座の姉妹も実に良い。こういう寂れた、もの哀しいような…

手を切る

非常にだらだらした一日。まるでダメな感じ。普段使ってるのとは違う、刃の尺が長い包丁が置いてあったので、それで葱を刻んでいたら指先を切る。五分くらいの間、ゆっくりと裂け目から湧き出てくるように出血し続けていたがやがて止まった。刃物で切ったと…

文章の模写

書物を引用しようとして本を開いて読みながらキーボードで書き写してみると、改めてその文章のひらがなと漢字の割合とか句読点の場所とかからなる「そのようにして組みあがっている感触」を、やたらと生々しく感じることができるのに驚く。それはもう、今ま…

昼食

たまたま入った店でガラガラっと扉を開けたときの店内の空気とか客の雰囲気が予想と違い、その時点で入り口の店の名前をもう一度しげしげと見て、ああこりゃあ結構有名な店だ・・という事に気づいた。なんというか、ちょっと気後れというか気疲れするかもなあ…

「わが町」

DVDにて。川島雄三の映画を初めて観たが、大変面白かった。明治初頭のフィリピンへの出稼ぎ移民のひとりである辰巳柳太郎が演じる「他あやん」が、工事を完了させて日本へ帰国してから始まって、やがて年老いて死ぬところまでで終わる物語である。とりあ…

「たまもの」

冒頭で、割と格好良い投球フォームでボーリングをしてい林由美香の如何にも上級者っぽく投げた後の、レーン上で足を交差させたまま体を停止させて真剣な眼差しの視線の先がピンに向かっていくボールを追いかけているのだが、結局倒れたピンが一番端のやつ一…

「ファンクラブ」 ASIAN KUNG-FU GENERATION

最近はアジアン・カンフー・ジェネレーションをわりと聴いているのである。意外や意外。僕もまだまだこんな、元気の良い若い子向けの切な激しい音楽も聴けるんだね!という感じである。はい。普通にいいです。でかい音で朝一から聴きます。 しかしロックミュ…

「青春の殺人者」

映画でも美術でも文学でも音楽でもなんでもいいけど、今俺は部外者だ、と感じる瞬間は多い。っていうかほとんどがそうだ。つくられたものというのは多かれ少なかれ、いろんなつながりや文脈や人脈や時代の要請や支出/収入やなんかの総体として存在するもの…

悲しきヤンキーメイト

「スローなブギにしてくれ」は1981年の映画だが、観ていて何度も「これ家の実家の傍かな?」とか「これ入間基地」だ!とか「これハイドパークじゃん」とか思ったけど、違う。あれは全部福生で、基地は横田基地である。でも基地のフェンスとか枯れて脱色…

「いくつになってもやりたい男と女」

なんという事だ、今観たのは何?この気持ちのやり場はどこにある??という感じで激しく動揺する。素晴らしいなどという言葉は虚しいだけだ。いまおかしんじという名前を聞いたことがあるという理由だけでCSで録画しておいたものを先ほど観たのだが、これ…

「スローなブギにしてくれ」

「スローなブギにしてくれ」というのはつまり「形式がスローなブギでさえあれば誰が演奏していようがどのような曲であろうがどうでも良い」という意味にもとれる。ブギとは三連譜を基調とした跳ねるような特徴をもつリズムの事で、ミディアム&スローテンポ…

信号

歩行者用信号が赤く灯っていて、しかし車道に車は全く来ず静寂があたりを支配しているので、そのままさっさと渡ろうと思った。…のだが、ふと脇を見ると自転車に跨った警官がふたり居るのである。いくらなんでもおまわりさんの目の前でこれ見よがしに信号無視…

風邪をひく

風邪をひきまして、昨晩はすぐ寝てしまいました。そんなにすぐ寝るつもりはなかったのに、気づいたら死んでた。翌朝起きたら、体のあちこちが、まるで油をさしていない古い機械のような感じだ。出かける時はマスクをしているので、呼吸を繰り返す口と鼻あた…

需要供給

上野のツタヤにDVDを返して、良い天気だったのでそのまま昭和通りをとぼとぼと秋葉原まで歩いた。汗ばむ程の日差しで、途中で着ていた上着を脱いで腕に掛けて歩いたがそれでもまだ暑くて若干まいった。僕はサングラスというものを普段全くしないし所持し…

「真昼の死闘」

始まって、ああこれシャーリーマクレーンが出てんだ。シャーリーマクレーンってあの女優かよーうぇー、とか訳もなくつい思ってしまったのだが、別にシャーリーマクレーンそんな悪くないというかなかなか全然魅力的だと思う。(なんとなく森山良子みたいだけど…

「石中先生行状記」

表題の作品をCS放映にて観る。1950年の作品。1945年の敗戦から1951年の「めし」登場に至るくらいまでの成瀬巳喜男の諸作品について、僕はまだそれらのうちのほとんどを未見なのだが、所謂「成瀬らしさ」が横溢して一挙に高みに登って満開にな…

「駅馬車」

こんな古い映画なのに、今観ても異常に面白い事にかなり驚いたし、本作が西部劇の金字塔とか歴史的名作とか云われている事に納得もした。まさにこの映画はほぼ映画の中のある「メートル原基」のようなもので、つまり事態を正確に記すとするならばおそらくこ…

チャレンジハンドシェイク(筒井康隆風に)

なんかこう、よく人が喋ってるときになんかこう、っていう言葉が多用されているように思う昨今なのだけれど、かくいう僕も人並み以上によく使っていると思う。それで最近、日常会話において、このなんかこう、が異常に気になるようになってきた。話をしてい…

「大人は判ってくれない」

DVDにて。50年代のパリの、ロケ撮影された都市の様々な景色を見てるだけで素晴らしい。迷宮のような箱庭のような不思議な場所。冒頭の、移動しつつ足元から見上げられる巨大なエッフェル塔からはじまって、雑踏、古めかしい建物、店の軒先、街路樹、石…

顔、あるいは制度を支える自意識について

まず誰でも本来、好ましいと思うおぼろげな記憶というか、喜びを誘発させる感触というか、心のどこかに引っ掛かっている何かとか、いずれにせよそんな、かなり曖昧なぼやっとした「何かのイメージ」を抱えているのだとする。で、そういう内面のごちゃごちゃ…

「大いなる幻影」

ジャン・ルノワールの表題作をDVDにて。香り高き、珠玉の名作という感じ。。今更こういうのを観て名作だとか云って何やら感想をブログとかに書こうとする阿呆らしさと恥ずかしさに耐えなければいけないのである。まったくこんな事になるなんて思いもしな…