2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧
大島弓子「ダイエット」という作品の中の登場人物である福子は、物語の中で何度も痩せたり太ったりを繰り返すのだが、その理由は読者にはあまりよくわからない。美しくなりたいとか、今の自分を変えたいとか、健康的になりたいとか、それらのすぐ思いつきそ…
マティスというと、とてつもなく鮮やかな色彩とか奔放な線とか形態とかというイメージが強いが、実際観ると意外にも印象深いのが、とてもつつましい絵の具の量と、くすんでいて、かすれていて、削り取られていて、その画面上での行為がそのままで定着させら…
京成上野から京成佐倉まで74分。運賃700円。京成佐倉からは無料バスで30分。上野までの道のりや電車の待ち時間やら何やかや併せて片道、確実に2時間とか3時間以上はかかる。…遠い遠い千葉県の佐倉である。でも5/25の会期終了日までは、何とかこ…
DVDレンタルにて。どうでも良いことだけど、ここでの森雅之が演ずる実業家のおじさんは、役名を村上春樹というのだ。もちろんこれは単なる偶然だろうし、この映画が作られたのはまだ1956年な訳で、森雅之も息子役の三橋達也にも、胡散臭い二本柳寛に…
山下敦弘作品のDVDを購入して鑑賞。死ぬほど笑う。どう見ても大人の男女役者が、中学校の教室で、中学一年生っぽい感じの芝居をしていて、中一っぽい小ネタをいっぱい披露して、それらがあまりにも「リアル」だから笑えるのか?そういうエピソードとかノ…
はっと気づいて、腕をまくって二の腕の様子を見て、そのあと下腹部をまさぐり、慌ててシャツを脱ぎ捨てて上半身裸になって、大きな鏡の前で改めて自分の肩や胸や脇の下や横っ腹から背中にかけてくまなく観察したら、自分の体表面すべての箇所に満遍なく、大…
あまりにも下らなくて馬鹿なのだが、でも結構面白い。それはアイロニーとか自虐気分で面白い訳ではなくて、僕が素で面白がってる。…っていうか、まあ要するに「デス・プルーフ」も本作も、どっちの作品もとりあえずもう一回、最初から観てえなあと思ってしま…
DVDで観た。でも前半ちょっと寝た。。「バニシング・ポイントが…」とか登場人物が平然と口にするっていうのは何か白ける気分にもなる。これからダッジ・チャレンジャーが出てきますよ、というのがあまりにも隠さずに説明されてしまうような…そこまで開き…
なぜかよくわからないけど、アントニオ・ネグリという人が来日する筈だったのに、急に日本に入国できなくなったのだという。昔、政治犯とかで捕まったりした事があるかららしい。はじめて知ったのだけど、我が国、日本では「一年以上の懲役若しくは禁錮又は…
壊す音が毎朝聞こえてくる。何日もかけて、少しずつゆっくりと壊しているようだ。消防車についてるような太いホースで放水しつつ、パワーショベルの腕がぐいーっと上の方まで伸びていって、建物の上角の辺から少しずつ壊していく。そうすると瓦礫とかが、ぽ…
「赤頭巾」という童話があって、赤頭巾ちゃんという可愛い女の子が居たのだけれどオオカミに食べられてしまいました。というだけのお話である事を評して坂口安吾が「ここには文学のふるさとがあるのだ」と言ってたように記憶している。 赤頭巾ちゃんがオオカ…
子供の頃は、電車の車両と車両の間の連結部分の、鉄板が重ね合わさっている部分に立って、電車の走行により連結部分が伸縮したり屈折して、立ち位置が不安定に揺らぐのが面白くて、いつまでもそこで踏ん張っていたりしたものだ。 最近、というか春先になると…
僕は考え方が固いのかもわからないけど、チェルフィッチュの「フリータイム」では観賞中もその後も、すごく苦い味わいの後味を感じて、その理由はおそらく、どれだけ感動的な30分=永遠の提示があっても、どうしてもそれを大きく包み込む強靱な「30分」…
生暖かい空気に包まれて歩く。鼻先を沈丁花の香りがかすめる。。それってベタに春だなあという感じ。春としか言いようがない。そんな陽気の中、六本木まで行き、チェルフィッチュの「フリータイム」という芝居を鑑賞する。僕はこういう小劇場的な演劇を体験…
住んでるところから5分も歩かない場所に、古い公団住宅が建ち並んでいて、一年ほど前その脇に全棟新しいのが立ち並んだので、元の団地は空き家のまま薄気味悪い感じでずーっとそのままだったのだが、今日ついに取り壊しをやっていた。数日前からまるでギブ…
「4.そうありたい私」と題したので、その言葉に沿うような気持ちで書く。先に一人で帰ってきた数子は、その後電話をかけてきた角松から、自分が店を出た後に遅れてやって来た福子の様子を聞いた。 「そりゃ オレは彼女に 嫌われてはいない とは思うけど 恋…
(vol.3)ではとりあえず「2.家族関係」に視点を変えて考えてみた。福子の家は、母親と再婚した義理の父親と腹違いの妹という家族構成である。そして福子は全編通じて基本的に家族への親愛の気持ちが薄いように見える。もはや豊かな関係を取り結べてもいな…
(vol.2)ではとりあえず「3.外見の美しさ/醜さ」という事を念頭において書いてみたつもりだが、そもそも容姿の美しさみたいなことが、本作ではとてもよそよそしいものとして捉えられているような感じがある。その美しさというものが、一体誰に属するもの…
大島弓子「ダイエット」はもう、とてつもなくすごい作品であった。一読してぶん殴られたような衝撃を受け、その後何度か繰り返して読んだが、読めば読むほど素晴らしさに恍惚となってしまった。この素晴らしい作品についてここに何か感想を書きたいのだけど…
大島弓子の漫画を今まで一度も読んだ事がなかったのである。なので、本屋の漫画ばかりで占められたフロアをぐるぐると探してみたが、見つからない。何となく気後れしながらも思い切って「すいません大島弓子っていうひとの本ありますか?」と聞いたら、メガ…
大女優のスキャンダルの身代わりを引き受けてあげて、それをきっかけにスターへの足場を固めていくときの恍惚と不安とか、身代わりになった者と救われた者との心理的な葛藤とかを、登場人物全員で演じられているお芝居の中に溶かし込んで、いわゆる劇中劇の…
それまで全く聴いたことが無く、どんな音楽なのかも知らなかったゆらゆら帝国の「空洞です」を買ったのはこの前の、一月のことだったと思う。ミュージックマガジンで去年のベストアルバムに選ばれていたのだ。それで試しに買ってみて、聴いてみたのだが…一曲…
やたらと居丈高に主張するのでもなく、黙ってじっと耐えるとかでもなく、必要なときに必要な分だけ、主張したり沈黙したりするというのは難しい。あるいは必要な分だけ与えるとか、ある時点を見定めて毅然とした態度で扉を閉ざすとか、それらすべてを自信を…
書き写している最中はそれほどとも思わないけど、読み返すと如何にも三島という感じだ。恥ずかしい。書かなきゃ良かった。でも上がってしまった… さて、「神風連史話」の読後感に話を戻しますと、現在三十八歳の私は、ふしぎにも、この非合理に貫ぬかれた歴…
「主人」のために「忠」を尽くす事を本懐とする武士からみたとき、警察という機構ほど奇妙なものは無いだろう。第一、警察官と呼ばれる彼らが一体何のために「お役目を果たして」いるのか、その理由がまるでわからないだろうから。 1872年、日本に警察制…
相手に愛を告白するというのは本来、勝算もリスク回避も度外視した真剣勝負としての賭けであり、そのときの告白者の気持ちは大抵、悲壮なものである。現状維持に留まり続ける事にもはや耐え難く、この宙吊り状態がこの後も延々続くのならいっそのこと、最悪…
昨日も今日も薄手のコートで丁度良い陽気だ。寒さが弱まって来て、やがてあの、全身がむずがゆくなるような分厚い暖かさを含んだ空気がすべてを包んで、春が訪れるのだろう。今の時点で想像すると、なんだかちょっと信じられない事のように思えるが、暖かさ…
画家の古谷利裕氏の絵画作品を前からほしいと思っていたのである。で、実はついに本日買ってしまったのであった。…購入した作品を抱えてとりあえず帰宅後、室内光の下に改めて晒し、眺めて、その後、いろんなところに置いてさらに眺めたり、妻と色々言い合っ…