2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

uncontrollable

自分が思ったように動かないのはつまらないと思うときの、自分の中の物質的感触。自分がアンコントローラブルであるという感じは、思春期を迎えてからの苛々した気分とか焦りとか性的な感覚とか、そういうよくいわれる青春っぽい感じよりもむしろ、もっと子…

三十女

あぁこれ面白いわ。これ後で書こう。と、思ったことを、いざ書いたためしはない。女としてそうなのか、女かどうかは関係ないと思うが。でもあれってなんでだろうか。なんで後で思い出すと、全然つまんないんだろうか。後で思い出すとつまんないって事は、書…

横浜1

会社の帰りにふと、横浜駅の周辺を散歩してみようと思いたった。横浜で下車して改札を出て、適当に階段を昇って地上に出た。横浜のことはほんとうに、何も知らないので、どこへ出ようが何が見えようが、すべてがはじめて見る景色だ。とりあえず地上に出たと…

羽虫

ついさっきの、一時間前まで会社にいて仕事していたのに、今、急にここで何か書けって、そんなの書けるわけないでしょ。いや、今家だけどね。でもまだ会社にいる感覚よ。そうだよ、さっきまで会議室にいたんだよ。説明してさ。まだ口の中ぱさぱさだよ。各人…

朝の通勤時間帯の、中目黒方面の日比谷線に乗る。霞ヶ関でどっと降りて、さらに神谷町、六本木を過ぎたあたりでようやく車内のところどころに隙間ができ、座席も空き始める。次の広尾に着くと大方の乗客は降りてしまい、一車両内に人が三十人くらいまで減る…

曇天下

大手町から都営三田線で芝公園。10番出口から歩いて、生まれて始めての東京タワー。入館料を払い、エレベーターに乗って、第一展望室に。下を見下ろして、おぉ、さすがにこれは怖いねという。下の景色も怖いし、その景色のあいだに挟まっている窓ガラスや窓…

休日

休日になったらゆっくりと過ごしたいとふだん思い浮かべるような、なるべく何もせず呆然としているような、そういう時間が今日だったとしても、後でふり返ってみてそれほど楽しくもなければ感じるところもなかった。なるべく何もしていないにしても、そうし…

しがみつく

何かにしがみつく、という言葉から受ける印象と違って、何かにしがみつくというのは、実際にやってみるとかなり大変なことだ。か細い両腕で対象をおさえて、両足はぎこちなく交差させて適当な突起やへりみたいな何かに絡ませて、そのまま振り落とされないよ…

練習

当時は、とにかく早く上達したいと思っていたので、朝学校に行って授業は普通に受けるが、昼休みと放課後は時間の許す限り練習である。夜になって、家に帰ってきて夕食の準備が出来て、食事後部屋に戻ってから、寝るまでの時間もやはりずっと練習である。そ…

再戦

今日はまだ、少し酔っているので手短に書くが、もう眠くて眠くて仕方がない。嬉しいとか安心したとか思ってはいない。楽観ムードはまるでない。 でも独りで、祝杯を家で、ふらふらと歩いて、冷蔵庫を空けて、別に顔なじみの、客に知り合いがいる訳でもない。…

停戦

いまはまだ、少し酔っているので、今日は手短に書くが、べつに今、とくにおめでたくはない。嬉しいとか安心したとか思ってはいない。数ヶ月根を詰めてきたが、それについてとくに、達成感もないし見返りを求める気持ちや想像枠内での報酬を形づくるイメージ…

疲労

背凭れに体重をあずけてぐったりとした姿勢のまま後頭部を仰け反らせて天井を見上げる。そのまま両腕を伸ばして頭の上で組み合わせ、ぐーっと突っ張って、背筋や首筋が伸びて、声のない嗚咽のような、喉の奥から搾り出してくるかのような声が思わず漏れてし…

余韻

今日も出勤。しかも朝六時に出発。外はもうすっかり晴れ上がった太陽の光に満ちている。すこし肌寒く感じるくらいの風が吹いていて、ああこれがおそらく、ぼくが小学生くらいだった頃の、夏の早朝の感じに近いのではないかと思った。 今日はじつに印象的なも…

オフィスの窓に近い側の照明だけ消して、奥側だけを点けた。蛍光灯の色と自然光の色なので明るさの質が全然違うのだが、かすかに窓側の方が明るい感じにみえる。そのちょうど真ん中へんに僕の座席があるのでそこに坐って、明るさと暗さの中間地帯に位置する…

呑喰

最初にみんなで、大皿で少しずつ食べようかってことになって。最初だからみんな様子見だと思って、注文してみたのね。でも来たらもう、食べきれないくらい出てきて!すごい量なの。それでみんな最初の三十分でもう完全にふらふらになっちゃって、あーここは…

混んでる

電車が駅に着いて、自分の立っている側の方のドアが開いたので、余計に人がたくさん乗ってきた。少ししか降りないのに、その何倍も乗ってくる。車両の奥まで押し込まれた。人同士ひしめき合いながら、つり革につかまって耐える。僕も周りも黙って我慢してい…

Bill Evans

最初にピアノの音だけ聴こえてたのが、それ以外の楽器の音も聴こえ出し、太い鉄の弦が爪弾かれたときの、それを支える木材の内側に潜む感情を、軋み音と唸り声よってあらわしているような響きが断続的に刻まれ、バネ仕掛けの金属の羽根が震え、空気の振動が…

STONE

わざわざ低感度のカメラで周囲を見ているとき、そのカメラ越しに見えた出来事を言葉で書き付けるのなら、それは出来事についてと、低感度のカメラだということについてを、半分ずつ言ってる事になる。 たとえばローリング・ストーンズというバンドなんかは、…

Over Time

さて、何か書かなきゃ。何を書くのか。いつも思うけど、なんで今書かないと、ダメなのか。書きたいときに書く訳にはいかないものか。でもそうもいかないのだろう。まあ書くか。始めよう。最初のセッション。15分目安の刻みでお願いします。さあどうぞ。…じゃ…

自動巻時計

一昨日アナベル・リイを読み終わったが、じつは同時に読んでいた田中小実昌「香具師の旅」収録の「浪曲師朝日丸の話」もかなり良かった。で、とりあえず「自動巻時計の一日」も読み始めたらこれがまたいい感じ。今はしばらくこの呼吸・リズム・グルーヴのま…

連休終

朝起きたらかなり眠かった。無理やり起きて、支度して、新宿まで行き大江健三郎シンポジウム聴講。内容も雰囲気も客層も大変マジメな感じ。それぞれの講演者が、マイクに向かって喋る第一声がどの演者もドラマのシリアスなセリフを言うような声色で話すので…

夜散歩

変な時間に寝てしまって、さっき起きた。時計を見ると夜十二時くらい。冷蔵庫を開けてオレンジジュースを取り出して、口の中に注ぎいれるようにして飲んでから、自室に戻ってPCに電源を入れて未読フィードを適当に読んで、何となく気分転換に散歩したくなっ…

朝礼

たぶんこの小学校の全生徒だろう。200人くらいか、あるいはもっといるかもしれないが、校庭の半分を埋めるくらいの人数、きれいに整列して並んでいる。前には朝礼台があって、校長先生らしき人物が台の上に立っている。台の左右には、将棋で王将の両脇に金と…

取り替え子

大江健三郎「取り替え子」読み終わる。…これはまさに異常。しかし、感動的としか言いようがない。読んでいて、今の自分が、物語のどこかで誰かの声を聞きながら、必死にしがみついて、すさまじいスピードで揺らぎの中に眩暈と反転を繰り返しながら、誰かの見…