2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

down

この世のものとは思えない、でも夢で見たことならあるかもしれない、でも自分の想像を越えた、自分の価値において最上の領域の最上辺に位置する、もっともうつくしい、もっとも大切な、ありがたい、畏れ多い、不可侵の、未知の、快楽の限界の、その先の暗闇…

真鍮

昔アルバイトしていた店の内装は、全体的に薄暗く黒系の渋めな雰囲気で、それが十数年の月日を経ていい感じに劣化しているのが好ましくてけっこう好きだったのだが、とくに心惹かれていたのは、入り口ドア上および窓上の庇に用いられた真鍮という素材であっ…

アサリ

砂抜きのために塩水に浸しておいたアサリがかなり活発に水を吹くので、何時間か放置したら、そこらじゅう水浸しになってしまい、あれあれと思って拭いてる間にも、のべつまくなし水を吐いて、どいつもこいつも殻を揺すりながら、柔らかな身をほとんど全露出…

不器量

昔、と云ってもたしか、せいぜい4、5年前くらいだと思うが、その頃プレゼントされた観葉植物(ストレチア)が、最近ずいぶんばかでかく成長してしまって、成長は良いのだがどうも形状的に変なことになっていて、一つの鉢から数本ずつの茎と葉が二手に分かれて…

八景

金沢八景駅からシーサイドラインで海の公園へ。毎年恒例の会社行事の野外呑み会。会社行事であるがゆえの気の遣い方的な面倒臭さはあるものの、いつものことながらシーサイドライン車内から見下ろす海の景色はすばらしく、まるで離陸した直後の飛行機から地…

漂流教室

先日から、楳図かずおの「漂流教室」を読んでいる。たぶん、小学生のときに読んで以来である。小学生のときに、父親の実家である三重県の港町の、親戚の集まる家の屋根裏部屋に潜り込んで、埃まみれの本を次々と読んでいたような、薄っすらとした記憶がある…

眠い

朝起きると、妻は先に起きている。ほぼ毎朝、いつものこと。ソファーにいる。しかし、眠い。misfitsの睡眠時間を確認すると、六時間半で自分としては充分すぎるはずだが、眠い。妻もだ。そう言ってる。二人とも、けっこう眠ったはずなのに、まだ眠い。たしか…

たそがれ

AIは、さすがにまだ実用レベルにはまだまだ程遠く、それでRPA(Robotic Process Automation:ロボットによる業務自動化)など一部では騒がれているが、これはぜんぜんAI的なものではなくて、規模や仕組みの複雑さなどいろいろあるようだが、要は単なる自動化、…

What You Got

もう結婚してから十七年くらい経つけれども、よく考えたら今まで一度も、たとえば一週間とか、そのくらいの時間を一人で過ごしたことが、十七年のうちで、一度もないのだ。仕事を一週間くらい休んだことはある。そのくらいの休暇は、何度かはある。二、三日…

水草

金曜日の夜。渋谷から人混みを掻き分けるように歩く。渋谷は何度来てもいまいち土地勘というものが体内に生成せず、途中少し迷ったりしてやや遠回りしながらも目的地を目指して歩く。金曜日の夜らしく、両脇に並んでいる店はどこもそれなりににぎわっていて…

ワイングラス

湯島の3331 Arts Chiyoda で3331 Art Fairというイベントを観てから、三越前に移動して、ワイングラスを買う。グラスを昨晩、また割ったのだ。もう本当に嫌になる。先日、グラスを拭くための専用のクロスを買った。それで、洗ったグラスをきれいに拭こうとし…

日差し

渋谷のユーロスペースでエドワード・ヤン「台北ストーリー」を観る。ブレッソンの「白夜」を思い出すような、室内シーンのうつくしい光。時間の進み方の按配というか、リズムのゆったりとした感じ。出来事同士のごわっとぶつけ合って並列的に進めてしまうエ…

My Life

Mary J Bligeの声は、ほとんどそのまま90年代を蘇らせる。音楽のはずが、それは音ではなくて、90年代の空気のざらつきそのものだ。しかもそれが、出来事や視覚的な記憶ではなく肌の感触として物質的に蘇って、耳でそれを受け止める。久々に聴いたら、なつか…

身体

ぴったりとした衣服を身に着けているときの身体の安心と心地よさを、身体の側から描きたい。いくらこの自分が不機嫌だったとしても、身体はお構いなしで快適さを謳歌していつも元気に歩いている。もちろん足にはしっかりとした靴が履かれていてよく手入れさ…

委託

前日、やや緩く力を抜いて泳いだので、今日はわりとまじめに泳いだ。と本人は思っているが、結果はそれほど大きく変わらない。まあ適当に続けているだけだ。こうして週に二、三度水泳して、もう既に半年近く経って、さすがに最近、ちょっと飽きてきた気がす…

supervisor

マネージャーやリーダーなどの管理職は、月に半分くらいは三人称モードで働くことになったらどうか。 自分自身ではなく「窓口」として職場に入って、自分を含むメンバー全員の主観を統合した意識モードで働くのだ。 これが可能になってから、チーム運用はか…

痩躯

体重がさらに落ちて、今日、自己ベストが出た。これだけの値だと、さすがにいつ以来だろうか。十代とか、高校生のときとかだろうか。しかし、それでも今が、高校生のときの肉体に戻ったわけでは無い。当たり前だが。 高校生のときの自分は、折れそうなくらい…

バイーア

休日出勤のため朝六時過ぎに家を出る。八時職場に到着。終了は十時。横浜から帰宅。十一時過ぎに上野。午前中からのむ気になる。ガブガブっと牡蠣を食う。十三時頃に地元駅到着。スーパーで牛モモ肉500グラム買う。クックパッドを読んでローストビーフををつ…

負荷非分散

分散作業にできる頑丈なパズルとしてのエンタメと、それに比べ色んな意味で不安定な実験的純文学の話から繋げると、それぞれのやってることがぜんぜん違うのに、実際は市場性という単一基準で判断されざるを得ない。 「特殊な環境で実験して初めてできました…

あなたがいるなら

Corneliusの新曲「あなたがいるなら」の何という素晴らしさ。。Corneliusの凄さでもあり、坂本慎太郎の凄さでもある。すごい。すべてがばらばらでありながら、そのように成立している、奇跡的な風景のようだ。つまり、とてもありふれていることそのものの、…

ブレーキパッド

初老の男性二人が向かい合って食事していた。少し話しては、沈黙して、またしばらくすると一言二言話して、また沈黙する。最初は沈黙の方がずいぶん長かった。でも、俺はブレーキはギュッと踏まねえからさ、俺は。ブレーキパッドの劣化の話で話題の流れが一…

朝へ

両親の実家だと思う。親戚の家か、親戚の知り合いの家かもしれない。古い当時の庶民的な日本家屋の居間にいる。夜である。縁側で靴を脱いで上がったのか、玄関から上がったのかおぼえてない。皆が出掛けようとしているので、自分も立ち上がって靴を探すが、…

course

飲み放題付きのお得なコースというのが一番嫌い。ほんとうに、美味しくない。ですよね。二軒目も同じ。よくこんな、まずい酒があるものだ。だったら、飲まなければいいのだけれども、結局、だらだらと食べるし、あなたは、飲むのね。それで、お値段は安い。…

冷気

退社後、横浜駅の先まで30分くらい歩く。先日までは寒空の下ビルの窓が光ってるのを眺めながら歩く、だったのが、夜になる手前の薄暗い空を見ながら、ふわっとしたぬくもりのある空気の中を歩く、に変わった。そして、歩き終わりの頃にはかなり汗ばむくらい…

ブエノスアイレス

ウォン・カーウァイ「ブエノスアイレス」をDVDで。こういうのはもう、二度とありえないと思った。でもなんとなく、こういうものを見させられて、バカだから、こういうのを真に受けてたというか、信じ込まされてたみたいな、自分の二十代の頃の、なんか騙され…

グレーズ

ブイヨンを加えて、水分がなくなるまでかき混ぜながら加熱して、またブイヨンを少し加えて、また加熱して、それを繰り返すのは、面倒臭いことだが、これって古典絵画技法のグレーズなんかもそうだよなあと思う。ヨーロッパの考え方というか、いい方法を考え…

鎌倉

わざわざゴールデンウィークに鎌倉に行くのだからバカだ。横浜あたりから電車が猛烈に混雑してきて、乗客が口々に不平不満をつぶやきあってる。もう、なんでこんなに人多いの?何なの?って…同じ車内でそう言う君は人じゃないのかと言いたくなるが、まあ気持…

SIX能

銀座のGINZA SIX内の観世能楽堂へ。素人による仕舞とかを観る。うちの母親が出るからと言って呼ばれたのである…。しかし銀座の、なんというものすごい人間の数だろうか。そして、この商業施設の何という混雑、そしてこれは、なんという立派な劇場だろうか。…

描く

久々に、少し絵を描く。何年も前のスケッチブックに、以前絵の具で描いたときの染みが、次ページの一部に移ってしまっていたので、そこから色と形を描き加えていく。ただしその染みはきっかけに過ぎず、それを絵の主題とか中心にしないように心がけつつ、画…

カッコウ

カッコウが鳴いているとき、すでに鳴声が消えた後の時間があらわれている。音がまず空間を区切った。鳴っている時間と、鳴ってない時間が、対比のような関係になって、今という質感が、唐突なある厚みをもった何かとして地から図へ反転して、にもかかわらず…