2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ホン・サンス「正しい日 間違えた日」

観た感想を一言で言うならば、面白かった。それは間違いない。しかし、そんなことよりも、まずチョン・ジェヨン演じる映画監督は、キム・ミニとはじめて出会うあの場所で、そもそも何をしようとしていたのか。日当たりの良い場所に座って居眠りをしようとし…

月の光が、すごかった。LED光のような白さ。

遅い人

女性でも、泳ぐのが速い人は圧倒的に速い。素人のペースとは桁違いで、同じコース上で泳いでいると、猛烈に煽られまくり、後ろから突き上げられまくる。ほとんど、百メートルごとに前を譲らざるをえないほどのスピード差である。サメに追いかけられて必死で…

羽生

たしか、ツイッターだかニュースだかで偶然読んだ話だが、将棋の羽生義治はアイススケート選手の羽生結弦のファンで、羽生結弦のニュースが気になって、テレビに映された「羽生…」の文字を見るとあわててテレビに近付くのだが、それが羽生結弦ではなく自分に…

三月の水

「悲しみは」三宅MIX。危うく感極まりそうになった(読んでいたのが仕事中こっそり、だったのでやばかった)。これは…すばらしいですね。なぜこれほど、素晴らしいと思うのか、これこそまさに、リミックスの醍醐味というか、サンプリングとカットアップという…

明け方

夜中に目が覚めて、いったん体を起こした。いつ眠ってしまったのかおぼえてなかった。今、何時か。丁度サッカーの日本×セネガル戦がやってるらしいが、テレビはつけない。仰向けのまま、姿勢を調整する。再び眠りにつくのは時間が掛かりそうだ。眠りを待ちな…

喫茶店70's

鉄条網の結び付けられた木の柵が立ち並んでいる。向こう側は線路だ。油の匂いがかすかに漂っている。柵に沿って歩いていくと、駅が見えてくる。切符売り場があって、改札口の駅員がこちらを見ている。たぶん、70年代後半、実家の最寄り駅だ。僕は小学校の低…

長谷川利行展

雨がざあざあ降りの日。府中美術館の「長谷川利行展」へ。長谷川利行は昔からわりと好きな画家であった。息継ぎの感覚が異常に短いというか、リズム感が異常に単発的というか、高速の、針のようなタッチで、切り込むような、打ち込むような線による空間のつ…

多摩蘭坂

国立市にある多摩蘭坂には行ったことがない。RCサクセションの「多摩蘭坂」という曲を知ったのは中学生のときで、その場所へ行ってみたいと思ったこともあったかもしれないが、行かなかった。この曲は昔は好きだったし今も嫌いということはないけど、さすが…

最近スパークリングワインが好きで、安物を買ってきて食事のとき飲むことが多い。しかし今日は会社の帰りに、あー、今飲めたらいどんなにいいかと思って、どこかへ寄り道しようかとも思ったがそれも面倒くさくて、まあ、手っ取り早くでいいかと思って、デパ…

母の遺産

水村美苗「母の遺産 -新聞小説-」読み終わった。単に僕が知らないだけかも知れないが、これだけハイソサエティな家の家族を舞台とした現代の小説って珍しいのではないか。遺産とか貯蓄額とか施設入居費とか慰謝料とかマンション購入費とか、露悪的なまでに具…

勃起

プイグ「ブエノスアイレス事件」を数日前に読み終わった。電話で喋ってる片側の人の声だけとか、警察の取り調べ記録とか、出来事と全然関係ない登場人物達の頭の中に思い浮かんでる内容とか様々な形式の記述方法によって、何が起きているかは一見あえて見通…

POLY LIFE MULTI SOUL

Zeppダイバーシティ東京でCEROのライブ。六本木で見たフリーライブから一ヶ月が経ち、サポートメンバーによって上乗せされたリズム楽器の音がひときわ印象的だった前回を思い浮かべていたが、はじまってみるとワンマンツアーの最終日らしいじつに手堅くしっ…

些細な

「偽日記」を読んだら観たくなって、ジム・ジャームッシュ「パターソン」を再見した。で、とりあえずあの犬は、何なのか。なぜああいう行動をするのだろうなと。 ある夜、パターソンは車に乗ったガラの悪そうな若者たちから「ワンジャックされないように気を…

ホン・サンス「夜の浜辺でひとり」

ホン・サンスという映画作家の私的領域をぐっと作品の中に入れ込んた感じで、奔放で大胆な構成の中に、作家個人の体臭というか息遣い的なものを感じさせる、いわば私小説的というか自伝/日記的な手触りを感じた。作品世界としては今までもっとも過激というか…

Richard Diebenkorn

部屋のソファーに寝そべって、背後の書棚に適当に手を伸ばして、たまたま取り出したリチャード・ディーベンコーンの画集を久々にぱらぱらと見て、あまりにも良いのでやや狼狽し、座り直して改めてじっくりとページを繰る。ああアメリカの美術の、これが最良…

Becca Stevens Band

ベッカ・スティーブンスを繰り返し聴いている。何を言っているのかはわからないが、とにかくそれに共感し寄り添いたくなる、それとは何か?というと、前後の脈絡を欠いた、一瞬のしぐさというか、ぐっと黙って考えて次の瞬間にさっと動き出す感じというか、…

悪役

会社に戻ったら、もう何ヶ月も前から延び延びになっている飲み会を来月こそやりましょうと言われたので、僕はいつでも大丈夫ですよと応える。しかしこの人、なんだか会うたびごとに痩せて顔色も悪くなっていくような気がするのだが、大丈夫なの?ほんとうに…

平常

駅前にあるコンビニエンスストア前の路面が濡れている。コンビニ従業員が建物の脇の水道にしゃがんで、ホースを持って半透明のビニール状の何かを洗っているからだ。警察官がその前に立って従業員と話をしている。少し離れた場所に別の警察官が周囲を見回し…

折畳傘

駅で傘を畳もうとして異変に気付く。骨が一本妙な具合に飛び出している。折り畳み傘の、布を支える金属のフレームとその周囲に電気配線ごとく絡んで走っている制御ワイヤー状のじつに繊細かつ複雑な印象を与える感じはけっこう好きで、傘は折り畳み傘ばかり…

一日、雨が降っていたが、室内はわりと蒸し暑い。窓を開けると雨の音と共に少し冷えた空気が入ってくる。肌に感じる六月らしさと匂い。スーパーに行く途中、小道の脇に人工の小川が流れている。後ろに立ち並んでる家のどこかで飼われているのだろう一匹の猫…

ホン・サンス「それから」

ヒューマントラストシネマ有楽町でホン・サンス「それから」を観る。最初から最後まで、完璧にホン・サンス。だからと言って、その職人芸の安定感を楽しむなどとんでもない。そんな余裕は全くない。つくづくこの作家はすごい。「自由が丘で」のときも思った…

シャッフル

最近、シャッフルで聴いてたらいきなり再生されて「うわ!これ最高だ」と思った曲たち。知らなかった曲も知ってる曲も混ざっているが、それがいきなり再生されたときの驚きは常に「今まで全く知らなかった新鮮さ」そのものである。 ●Taylor Eigsti「The Wate…

脳神経科

じつは数日前から軽い頭痛が続いていて、痛み自体は大したことないのだけれども、それでもやはり気にはなり、時間帯や姿勢や動作よっても感じる痛みが異なり、なんだかふわっとした痛みの帽子をかぶっているような、それで昨日の午後など一瞬軽くめまいを感…

ハートランド

今のところ、ビールはハートランドがいちばん美味しいと思っている。どんな店のどんな素敵なビールも、自宅で瓶からグラスに注いで飲むハートランドの美味しさにかなわないような気さえする。いつも近所で中瓶を二本ばかり買うのだが、さて今日の夜立寄った…

ブエノスアイレス事件

マヌエル・プイグ「ブエノスアイレス事件」。まだ前半三分の一くらいまでしか読んでないが、この後どうなっていくのか。 母親はクララ、娘はグラディス、失踪?行方不明の娘、警察への届出を躊躇する母親、ベッドに倒れている女と座っている男、グラディスの…

白痴

また財布を忘れた。夜スーパーで買い物して、そのまま財布だけ置き去りにして帰ってきてしまった。家に帰って気付いて、あわててそのスーパーに戻って、幸い預かってくれていたので助かったのだけれども、なんかもう、ひょっとしたらもう、自分はもう死んだ…

新聞小説

唐突に気になって、はらたいら。あの人もう亡くなったっけ?と言ってネットで調べたら、もう十年以上前に亡くなっていた。ウィキペディアを読んでいたら、うつ病など更年期障害に苦しんで、飲酒量が多くて肝硬変を患いやがて肝臓癌で死去、享年六十三歳との…

犬ヶ島

TOHOシネマズシャンテでウェス・アンダーソン「犬ヶ島」を観る。かつてのように息を呑む思いでウェス・アンダーソンの映画を食い入るようにみるのは、もはや難しいと感じてしまうところがあり、ある種の既知感と安心感の上で洗練と職人技の精緻を感心しながら…

同い年

朝も夜も、通勤や帰宅の乗客でいっぱいの電車内は基本的に誰もあまり話をせず車内がしーんとしていることが多いので、誰かが喋っているとその声はわりと大きく電車の中に響き渡って、対話者同士の会話を周りの人たちが黙って聞き続けるみたいな状況になるこ…