2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ROMA

アップリンク吉祥寺で、アルフォンソ・キュアロンの「ローマ」を観る。しっかりとした予算が組まれて、とても丁寧できちんとした企画がなされて、脚本が出来て、映画が作られて、堂々たる出来栄えで立派に完成しましたという感じで、こちらもそれに観客とし…

花見

立川の昭和記念公園で友人達とのお花見のために午前中から出掛ける。寒いし曇り空だしまるで気が進まないが、約束だから仕方が無い。とはいえその場に集まると、わりと久しぶりな人も来ていてそれなりに面白いし、寒さもかろうじて耐えられる程度には厳しく…

銃後

僕らはよくわきのカフェで待ち合わせるのだった。通りには松葉杖の負傷兵がますます姿を増し、だらしのない姿が目立った。その連中のための募金の催しが行なわれ、だれのための《日》、彼のための《日》といったぐあいに、だけど結局は、《日》の発起人のた…

期末

期末ともなるとさすがに気忙しく、ばたばたしているうちに一日が終わってしまう。お昼は用事があって久しぶりにビルの外に出たら大変な春の陽気で、しかも春休み期間中なので隣接する商業ビル施設はどこも客でいっぱいで、ふだん朝から晩までオフィス内に居…

Lady Marmalade

アラン・トゥーサンがプロデュースしたラベルの「Nightbirds」(1974)一曲目に収録されているのが"Lady Marmalade"。昔からこの曲は好き。 https://ja.wikipedia.org/wiki/Lady_Marmalade (wikipedia) この曲を僕がはじめて知ったのは1998年のAll Saintsによ…

ザ・ミーターズ

The Metersのアルバム「Rejuvenation」はアラン・トゥーサンとの共同プロデュースとのこと。ファンク度が強力過ぎる。スライ的過ぎる。 The Meters - People Say www.youtube.com このドラムの入り方…途中のギターとベースだけになって、再び戻ってくるとこ…

Allen Toussaint

先週からアラン・トゥーサン1972年のアルバム「life, love and faith」ばかりくりかえし聴いている。あるとき、たまたまシャッフルで「On Your Way Down」が再生されて、これリトル・フィートの曲?と思ったら、リトル・フィートの方はカバーで、原曲がアラ…

鏡の公園

昨日よりも暖かく空も晴れて、水元公園を散歩するには絶好の日和になったと思う。地図で見た公園全図の左下にあたる入口から園内へ入る。数字の2を横に寝かせたような流れの川(準用河川)があって、それを挟み込んで二つの公園が向き合っていて、下側が東…

アッバス・キアロスタミ

キアロスタミ「友達のうちはどこ?」をDVDで観た。たぶん九十年代以来の再見。当時観たキアロスタミはとても凄いと思ったし特別な映画に思えたもので、久しぶりに観たのにあまり久しぶりという感じがしなかったくらい、場面のどれもこれもが記憶に残ってはい…

分散化革命

「r/place的主体とガバナンス ? 革命へと誘うブロックチェーンとインターフェイス」を一読して、まだ充分に理解できているわけではないが取り急ぎ考えをまとめておきたい。 http://ekrits.jp/2019/03/3046/ 命令・恫喝・シニカルな自己満足によって駆動する…

インポッシブル

桜がついに咲き始めたようで、思わず早いなと呟いてしまう。早咲きのサトザクラは満開のピークをすでに過ぎて、集まってきたメジロたちが身体ごとぶつかって枝を揺らすので花の落下をさらに加速させる。今日はこのあと雨も降り風もさらに強まると天気予報が…

夜は一人で鮨屋へ。普通ならビビッて絶対に入れないと思うような立地だけど、インターネットの便利さに頼ってセコセコと調べて自分のような者でもこうして入店しようとするのだから我ながら恥じ入り俯きたくなる感もありますが、まあ休日前でもあるし満席で…

我々

ルイ=フェルディナン・セリーヌ「夜の果てへの旅」の猛烈な戦闘場面。映画「プライベート・ライアン」の冒頭のシーンを思い出してしまう。頭の上を銃弾が飛び交い、十秒先、一秒先には生命を失うかもしれない目の前で、他人がモノのように吹き飛んで死骸と…

回想のセザンヌ

エミール・ベルナールの「回想のセザンヌ」。エクスでベルナールがセザンヌとはじめて出会う場面が、あまりにも生々しい。かなりの老齢。杖をついて、危なっかしい足取りで、細かく息を継ぎながら、テーブルの端に手を着いて体を支えて、無言のままゆっくり…

小石川~千住

地元のジムで泳ごうかなと思って出掛けるが、よく考えたら毎週土日の地元ジムのプールは、コースの殆どを子供たちに占拠されてしまうのだった。コガモの群れみたいなのが羽根をばたばたさせて猛烈に水飛沫のあがってる騒がしい状況が、ようやくありありと目…

靴を磨く

土曜日になったら、絶対に靴を磨くつもりだから、でもきっと忘れるから、土曜日になったらそう言ってください、靴磨け!って僕に言って。と数日前に妻にお願いしておいたのだった。今日になって、靴磨けば?と言われて、強い衝撃を受ける。えー!なんでわざ…

婚約

婚約しましたと言って嬉しそうに指輪を見せてくれたのは、たしか去年の秋頃だったか。いつもぼんやりしてるか、もしくは見当違いな他所の不安を勝手に身に受けてるみたいな、とらえどころのない雰囲気だった彼女が、そのときだけは大変珍しいはしゃいだ様子…

信じる

信じるというのは、能動態でもあり受動態でもある。信じる=信じてしまうだ。他人からなんと言われようが信じてしまう。その時点で、信じてない状態に戻る自由は失われている。じつは芸術もそうだろう。芸術というのはある意味、どうしても信仰と見分けがた…

光・比喩

3/7に書いた「まるで鉛を透かして届いた光線に照らされた家具のように」という比喩だが、これは「三人の女(トンカ)」そのものの、終盤の方に出てくる比喩の丸パクリであるという事をここに急いで付け加えておきたい(とFさんに伝えたい)。丸パクリは大げさ…

平日渋谷

去年九月の台風で延期になったCRCK/LCKS/ものんくるの渋谷WWW Xでのライブが今日で、会社を出たのが遅くなり会場に着いたときはすでにものんくるの演奏がスタートしていた。とりあえずビールをぐーっと飲み干してからドアを開けたら人の背中がぎっしりで、と…

ふたたび、寝ても覚めても

昨日のことだが、濱口竜介「寝ても覚めても」をDVDで再見。朝子は「どちらの男を選ぶか?」に悩んでいるのではなくて「ふたつの世界があって、元々私はどちら側に住んでいた人なのか?」に悩んでいる。まるで記憶を失った人のように。停車した車の助手席で、…

ふたたび、それから

ホン・サンス「それから」をDVDで再見。去年の夏にはじめて観たときの驚きは今でも忘れられない。鮮やかとしか言いようのない、完璧な作品という印象で、それは再見の今回でも変わらないのだが、ただし初体験でないことでインパクトは減った。それってつまり…

始まりと終わり

RYOZAN PARK巣鴨で保坂和志の小説的思考塾2回目。オイディプス王の話については、ウィキペディアが相当詳しく書いてあるからとりあえず読むといいかも。まず予言があって、その予言から逃れようとするけれども、結果は予言の通りになる。主体はあらかじめ設…

最近定例と化しつつある、男二名での食事会のために退社後恵比寿へ向かう。けして広くはない店内のテーブルが、ほぼ客で埋まっているのは金曜日の夜でもあることだし不思議ではないが、場所柄によるのか店柄によるのか、それぞれのテーブルを囲む僕達二人以…

三人の女(トンカ)

ムージル「三人の女(トンカ)」はおそらくムージルという人間、ある時期のある場所に生きたある一人の男性の、過去の記憶とそれへの屈託が濃厚に反映されているように思われる。wikipediaによれば「三人の女」刊行は1924年とのことだが、おそらくムージルのま…

H.E.R.

まるで知らなかったのだが、たまたま紹介記事(URL)を読んで聴いてみたら、これが久々にいいと思える感じだった。引き合いに出すのが古過ぎて恥ずかしいがR.Kellyの95年の2ndをはじめて聴いたときの「え、こんなに地味でいいのか?しかしこれはいい!」と感じ…

中村佳穂

Mさんレコメンドの中村佳穂のアルバム「AINOU」を先日はじめて聴いた。中村佳穂を聴くのはこれではじめてではなかったかもしれないがちゃんと聴いたのははじめてだからはじめて聴いたようなものだ。そして驚いた。「きっとね!」という曲。この完成度の高さ…

浮草

二日続けて雨だと、人通りも少なくなるのか、ジムも電車の中も駅前も閑散とした印象だった。冬の冷たい雨の降る日が続くなんていうのは、人の気持ちをいちばん滅入らせるのかもしれない。 雨といえば、小津の「浮草」…というか土曜日の午前中、テレビをつけ…

mezzanine

昨日の天気の続きとは思えないほど本格的な雨の一日。午前中までに買い物を済ませようと出掛けた帰り道に、最近新しく出来た家からすぐ傍のコインランドリーがなぜか客で賑わっているのを見かけた。最近この業界の店舗が皆そうなのかは知らないけど、わりと…

景色

正午前に家を出て、駅までのルートから一本外れた道を選んで線路の反対側に出てから、古隅田川の流れに沿って妻と二人で歩いた。歩く足元に出ている雑草群が、春の準備でしだいに様相を変え始めているらしかった。南下していくとやがて綾瀬川があらわれ、水…