2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

きみの鳥はうたえる

日本映画専門チャンネルで、三宅唱「きみの鳥はうたえる」(2018年)を観る。男×2、女×1が主な登場人物で、男が二人で共同で暮らしているその生活に女が入ってくることで、三人の時間がはじまる。女は男1を最初は好きだったのだが、3人でいることによって、そ…

演劇2

Amazon Prime Videoで想田和弘「演劇2」(2012年)を観る。前半では、演劇祭やワークショップに招かれて偉い人との会合、会食等をこなす、劇作家というよりもビジネスマンでありスポークスマンとしての平田オリザの姿。見事な立ち振る舞いと社交術。営業マンや…

赤出汁とマスク

赤出汁の味噌を買って以来、ほぼ毎晩、味噌汁を作っている。食した残りは明朝に再び食す。赤出汁の味噌汁はじつに美味しい。覚醒的と言いたいほどの塩気と酸味と味噌の風味。塩分的にはけして好ましくないのでは…とも思うが、それでもできれば、一日に一杯は…

待つ時間

ちょうど一年前、病院の待合室で妻を待っていた。ただ待つだけ、それしか出来ない、そういう時間が、たまに訪れる。ふだん仕事しているときや、休日を過ごしているときとは異質な時間で、しかし異質であること以外には何の特徴もない、ぶっきらぼうで、味も…

時間旅行

ハインライン「夏への扉」を読んでいる。この作品は1956年に刊行されているが、時代背景は1970年のロサンジェルスで、本作の主人公は、冷凍睡眠を経てそこから30年後の2000年に蘇生する。つまりハインラインは作品執筆の時点からおよそ15年後の未来に生きる…

The Killer Meters

バックビート、すなわち一拍目と三拍目に対する二拍目と四拍目。その裏のテンポが表に対してかすかに遅れるとき、何かがあらわれる。ソウルやファンクのリズムは、こうであってほしい、こうであるはず、といった時間的な予測から、つねにかすかにずれ続けて…

93~94

ニルバーナの「In Utero」は、いまいちぴんと来なかったが、スマッシング・パンプキンズの「Siamese Dream」はとても気に入った。小沢健二がアレステッド・デヴェロップメントの「Zingalamaduni」を、奥田民生がジェリーフィッシュの「Spilt Milk」を推して…

精神、演劇1

Amazon Prime Videoで想田和弘「精神」(2008年)を観る。雨降りの湿った景色ばかりがやけにたくさん出てくる。診療所の建物はずいぶん古い、いかにも昭和な雰囲気の木造の建物で、そういえばはるか昔、僕が子供の頃に一時期通っていた歯医者もたしか、こんな…

精神0

"仮設の映画館"で配信中の、想田和弘「精神0」(2020年)を観る。このドキュメンタリーに登場する精神科医(山本昌知)は、気高く、高潔で、同じ人間として尊敬の念をおぼえずにはいられない、そのような人物だと僕は思う。そのような人物のように思うとは、どう…

モツ

煮詰まったモツ煮込みを食いながら、雑に熱くした燗酒を口にしたい、そういう典型的立ち飲み客のおっさん的な欲望は、つねにある。モツ煮込みは、スーパーやコンビニの惣菜では僕にはなぜか全然ダメとしか思えず、スーパーに売ってるモツ系の肉類を自宅で焼…

湯豆腐

今日の夜も寒い。真冬ほどとまでは言わないが、真冬を思い出させるくらいには寒い。五月も半ばを過ぎたというのに、こんな日もあるのがふつうのことだったか。夜は湯豆腐がでた。しかし寒暖問わず、湯豆腐はいつでも美味しい。 今泉力哉「サッドティー」の録…

修正リスク

修正、すなわち、直す、治す、ということだろうか。そのとき、何を修正するつもりなのだろうか?たとえば文章なら、ロジカルな整合性を整えたいとか、最初と最後で言いたいことが変わったから一旦考え直したいとか、何度も同じことを言ってるから整理したい…

スープ

日曜日の夜、鯛の切り身と野菜を並べてハーブとオリーブオイルでオーブン焼きにした。しかし食す以前にいろいろ摘まんでたらそれで満腹してしまい、結局その夜はほとんど手を付けずに残してしまった。 月曜日、ミネストローネを作って、昨夜残ったそれらを具…

具体/必然

三宅さんの今書いてるやつ、傑作の予感だな…。各登場人物、とくにホテル従業員たちのおそろしく活き活きとした様子、それだけで惹きこまれる。その世界がしっかりと立ち上がっていて、出来事のひとつひとつ、一文一文がすべて具体的だ。書かれるべきものだけ…

プリズン・サークル

快晴の空、空気は初夏の肌触り、そして暑さ。昼過ぎから早くも枝豆とビール。 仮設の映画館(https://www.temporary-cinema.jp/)で配信中の、坂上香「プリズン・サークル」(2020年)を観る。島根県の刑務所でTCと呼ばれる官民協働の更生教育プログラムを受講す…

毎週そうだが、土曜日は朝の四時か五時、ホテルの部屋で目を覚ますとすぐに起き上がり、いそいそと着替えて荷造りして部屋を出てフロントを呼びつけてカードキーを返却すると、始発が動き始めたばかりの横浜駅へ向かって脇目もふらずに歩き出す。睡眠時間足…

業務

今日も朝からバタバタ落ち着かない。受難の週ではあるが、自分も、いつもにくらべてどうも精度が低いと思う。おかしい、いつもより出来てない、軽い悪循環に近い何かにはまってるのかもしれない。体調は、べつに悪くはないはず。しかし良くもないのだろうか…

シュナン・ブラン

とくに今週は、気疲れすることがじつに多くて、まいったなあ、今後を考えると先が思いやられるなあ…という感じなのだが、結局こういうことにも、慣れてしまうのかなあ…とも思う。慣れてしまうんですよねえ、人間というのは、おそろしいことに、じつに柔軟と…

皮下

フィットネスクラブを休会してからすでに2か月以上が経つ。当のジムはまだ臨時休館中だ。そして、さすがにいよいよ、体重が変動増加し始めた。ずっと運動らしい運動もしないで家にいてばかり、それで今まで通り食べているのだから当然のことだ。というか僕の…

包丁

出刃包丁と柳刃包丁を、買おうかどうしようかと迷っている。魚を捌く練習をしたい。しかしけっこう高価なので、ちょっと二の足を踏む。亡父も、伯父兄弟も、一歳下の甥も、魚は捌くことができた。まあ、あの人たちは漁業関係者みたいなものだから当然として…

生理食塩水

ハナノアという鼻孔を洗浄するための商品があって、自宅には常に常備していたのだが、昨今の時世の影響かどうかは知らないけど、最近どの薬局に行ってもこの洗浄液がまるで手に入らない。完全に品切れ状態なのだ。まあ、気が向いたらちょっと使うくらいのこ…

ハリウッド

Amazon Primeでタランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019年)を観る。ただしこの映画のラスト三十分が嫌いなので、その手前で止めておしまい。それにしても本作のディカプリオは、ロメール「緑の光線」の女の子と同じくらいかそ…

緑の光線

エリック・ロメール「緑の光線」(1986年)を観る(VHS録画)。主人公のデルフィーヌは、旅行の約束を友人にキャンセルされてしまって、夏休みなのに二週間をたった一人で過ごさなければいけない。手持無沙汰で、退屈で、気詰まりで、でもその状況を回避しようと…

胡瓜

休日の朝に、妻がサンドイッチを作ってくれて、起きるとすでにたまごサンドと胡瓜・ハムサンドが出来ていて、あれはありがたかった。サンドイッチはおいしい。お弁当がおいしいのと似ているように思う。いくつかの食材を一か所にぎゅっと詰め込んであること…

食べたくなる本

三浦哲哉「食べたくなる本」が、とても面白い。主に料理書およびそれを著した料理研究家について書かれた本で、90年代から今にいたるまでの、家庭での料理がどのように変遷していき、何が受け入れられ、何が忘れられていったのかを辿りつつ、それらの料理本…

車内

登場人物たちが、たまたま汽車の同じ座席に乗り合わせて、そこでの会話から小説が始まるというのは、これ以上ないというほどありふれているけど、これから起こる出来事への期待を、これ以上ないくらいにかき立ててくれる、ある意味王道というか鉄板の始まり…

蛇・チェーホフ

散歩の途中で、蛇を見た。いつ以来だろうか。あの蛇を見たら、そのことはこのブログにも必ず書いているはずだ。しかし検索するのも面倒なのでぼんやりとした記憶だけで話を進めるが、前に見たのはおそらく五年前くらい。たしか鎌倉の美術館の池を泳いでいた…

タクシー運転手

Amazon Prime Videoで、チャン・フン「タクシー運転手 約束は海を越えて」(2017年)を観る。1980年の韓国・広州が舞台。事態の悲惨さに思わず消沈するような場面もあれば、緊迫感やスリルにハラハラする場面もあり、戦場と見まごうばかりの状況下における救出…

観る

Amazon Prime Videoで今泉力哉「アイネクライネナハトムジーク」」(2019年)を観る。 これまで連続して観てきた今泉作品で"ほぼ面白くない"と思えるものに、ついにはじめて出会った。対話のテンポ感とかに、かすかにこれまでの作品から継続されるニュアンスは…

今泉特集3

日本映画専門チャンネルで、今泉力哉「知らない、ふたり」(2016年)を観る。素晴らしかった。感想よりもひとまず、観たことを思い出すがままに、以下に書き記しておきたい。 靴屋で働く韓国人のレオンはいつも孤独だ。レオンは自分が信号を無視して横断したこ…