2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

六対四

柿ピーは、配分としては七対三はぜったいに認められず、従来の六対四が遵守されねばならない。この点、先だって亀田製菓の為した配分変更がもたらした衝撃は多大であり、少なくとも自身を含む一部消費者にとっては未だ是認し難い状況であり、何らかの施策是…

バジル

水栽培中のバジルは成長著しくて、一度に収穫しきれないほどたくさんの葉を茂らせていて、一回の食事で使いたいバジルの量など、多くても大きめの葉が一茎分についてる数葉くらいなので、それだけを摘み取ると、残りは相変わらずぐんぐん成長するし、摘み取…

巡る

体温よりも気温の方が、高いような感じがする。サウナのようなもわーっとした空気の中を歩く。あの店がなくなったとか、この建物が消えたとか、また何か新しいのが出来そうとか、そんな箇所がいくつか目につく。自宅からあるいて数分の場所と、図書館の近く…

火急

ところで、自分は不要不急という言葉の意味を、今でも頭の中できちんと整理把握できてない。その言葉が、必要という意味なのか不必要という意味なのかを、いまだにうっかり取り違えそうになる。わかっているつもりでも、少し気が緩むと、まるで右と左がわか…

屋上

電車の窓から外を見ている。高架を走る電車は、川を渡ったあと、街並みを見下ろす高さを駅へと向かって走る。密集する住宅の屋根が連なっている。低層のビルや、屋上のある家には端に梯子があったり物干し竿があったり、洗濯物が風に揺れているのも見える。…

共鳴

自室で、それなりに大きな音で音楽を聴いているのは楽しい。だがイヤホンで聴くのが、最近はどうも気が乗らないというか、聴いていてもあまり楽しくないと感じがちだ。同じ曲でもイヤホンで聴くとかなり違って聴こえるものだが、その違いが、新鮮さや面白さ…

七〇年代へ

大江健三郎「万延元年のフットボール」の終盤、鷹四が自殺を遂げてから、ラストへいたるまでの展開の、急速に雲が晴れるかのような、不思議な明るさが挿してくるあの感じは、いったい何だろうか。それがどうも自分には、これはかつて実際に自分も体験した、…

世界

大江健三郎「万延元年のフットボール」の魅力は、それがある意味、このうえなく陰惨で、救いようのない物語であるにもかかわらず、なぜか心を躍るような夾雑の要素が多くちりばめられているところにあると思う。僕がはじめて本作を読んだのは二十代のときで…

反復

大江健三郎「万延元年のフットボール」の鷹四は、暴力衝動と自己処罰衝動とあいだを激しく揺れ動くようなやつで、こんな厄介な人間が煽動することで、一揆や暴動が具現化するものなのか、おそらくは人を惹きつける魅力も持ち合わせているような、暴力の悲劇…

閉店

いつもの店で髪を切った。そしてこの店は、今月で閉店する。ずっと担当してくれていた人もご実家に帰って家業を継ぐそうな。およそ二か月に一度の間隔でこの店に通いつづけて、たぶん二十年近くが経った。それが今日で最後とは、あまりにも唐突ではあるが、…

テトラポッド

「タモリ倶楽部」を見ていたら、ゲストに出ていた女性の年齢が46とあって、どう見てもそうは見えないと思っていたら、年齢ではなく何とか46というグループのメンバーだった。「タモリ倶楽部」今夜の特集は「消波ブロック」。 子供のころ、夏休みの親の実家に…

性性

セックスとは、男女間ならば女性のなかにある男性性と男性のなかにある男性性とでやる行為なのではないか。だとしたら、同様な考え方で、女性のなかにある女性性と男性のなかにある女性性とで、何が行われるのか、何かができるだろうか。 一枚の絵画、あるい…

20th

ふだん甘い食べ物にほぼ興味がないので、たとえばデパ地下のお菓子売り場が集まってるフロアをうろうろしていてもそんなに楽しくはなくて、どれでもいいんだけど…それでも様々なお店の色とりどりの商品に目移りして、それなりに迷ったあげくこれでいいやと決…

田村正和

田村正和をはじめて知ったのはドラマ「うちの子にかぎって…」で、放映年は1984年らしい。小学生が大人にこまっしゃくれたことを言うのが面白い…と、そのドラマを見ている当時中一の自分が思っていた。一応もっともらしい態度でことをおさめようとしてそうは…

収穫

先週から要請にしたがわないことにしたお店が、僕の知る店にも何軒かある。営業時間も通常どおりで、お酒もだす。もとより席も少なく騒ぐ客もいない店で、平常営業で何ら問題ないと思える。行こうか、久々に…という気になる。 夕方、虹がすごかったとのこと…

効能

大江健三郎の作品を読んでいると、その文体をとても独特で奇妙なものだと思うが、それでもすでに刊行から数十年を経た今読んでも、風化した感はまったくない。書かれている出来事が、まず出来事の大まかなイメージから掘り起こして書かれているのではなく、…

匂い

川沿いの道を歩いていると、一帯を草刈りされた直後の、濃厚な匂いがあたりにたちこめている。ムッとした感じの、押しつけがましいような、まるで動物や人間の体臭を思わせるような匂い、現在進行形で成長していたものが、いきなり断ち切られて、はからずも…

淹れ方

あの曲なんだっけ。ウォン・カーウァイの映画の最後にかかってたやつ…と思って、ああ「ハッピー・トゥゲザー」だと自己解決した。この曲は何度聴いてもすぐ忘れて、それでしばらくして思い出して自己解決する、それを何度も何度も飽くことなく繰り返すために…

組織化

雨になった。あじさいの葉が、深い濃緑色の葉の合間にこのあと花になる下準備の房を膨らませはじめた。まだ蒸し暑さには至らない、快適といっていい気温の朝なので、歩く気分を苛むような何のノイズも感じない。雨が厄介だとはいえ、これはまだ充分に気持ち…

捌く

魚を三枚におろすのは、ちょうど一年前くらいからはじめて、日々熱心にとは行かないまでも、それなりに回数重ねては来たのだし、もうちょっと上達しないものかなとは思うものの、今でもどうにかそれなりにはやっている。上手に出来れば、気分がよく、いまい…

スカート

目を覚ますと、乗客の少なくなった電車内には朝の光が降り注いでいて、目の前を柔らかい布が、クラゲのようにひらひらと揺れているのが見えた。それは前に立っている女性の長いスカートだ。換気のために窓が少しあいた、少し肌寒いくらいの車内には、明滅し…

自由

三島由紀夫は一九二五年に生まれた。大岡昇平よりも十六歳、小島信夫よりも十歳、三島が年少である。田中小実昌とは同い年。司馬遼太郎は二つ年上。彼らひとりひとりが体験した戦争があり、三島由紀夫が体験しなかった戦争がある。 先日の東大での三島の映像…

社会人

日本映画専門チャンネルで、豊島圭介「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」(2020年)を観る。 騒然とした場内を前にしても、怯む素振りなどまったく見せないが、余裕を見せたり斜に構えるところもまったくない、只真剣な表情で前方一点を見たまま、マウン…

参る

晴天だというのに、水元公園はかなり人が少なかった。おそらく駐車場が閉鎖されているからだろう。そのわりにはけっこう人が多かったと言うべきかもしれない。 お前の祖父がいるのだから、お前も靖国神社に参ったらどうかと、亡父から言われたことがある。生…

テレビで「北の国から」が、ずーっと放映されていて、別のことをしていたので画面は見てなかったのだが、それにしてもこのドラマはいつでも、まさにこういう感じだな…と、うんざりするような雰囲気が、耳に届く音声だけで、充分以上に伝わってくる。登場人物…

恥部

地下一階まで階段を降りると、すぐ鉄の扉があった。取っ手は下がった状態になっていた。手に持って、そのまま引くと、扉が開いて、まるで奥行きのない、いびつなかたちをした狭い空間があらわれた。右手には掃除用具やバケツがまとめて置いてあり、左手には…

濁った水

東京拘置所の敷地を取り囲むように堀があって、その水は、ほとんど流れてないように見える。かなり濁っていて、水底はまったく見えない。排水で汚れているというよりは、流れが遅いので濁っているのだと思う。生き物は少なくない。堀に沿って歩いていると、…

房総

千葉県の海の近くに、旅行に行きたい、そんな気がしている。まったく具体的な旅行プランにならずに、いつまでもぼんやりとそう思ってだけのことだが、機会があれば一度、適当に電車に乗って、なんでもないような鄙びた港町のあたりを訪れたい。というか、単…

天気雨

これ以上ないほどの晴天で、木々の緑や空の青が、光と一体になって輝きながら風にそよいでいて、物とそうではないものとの境目がほとんど曖昧になってる。公園に寝そべり、並んで座り、子供たちと遊ぶすべての人々が、そんな光の下で、思い思いに自分らのこ…

大陸

小林秀雄「杭州」「杭州より南京」「満州の印象」と続けて読んでいた。 小林秀雄を読むとき、いつも書かれた年代を確認して、著者の年齢を確認する。毎回、それをする。小林秀雄は1902年生まれだ。さすがにおぼえてしまった。戦前と戦後で、四十代が分割され…