2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

料理本

料理本とは、まずジャンルや目的などのテーマが設定されていて、その下に手法や調理器具の条件があって、そこから肉、魚、野菜、ごはんなどのカテゴリーに分けられた複数の料理レシピが載ってるのが一般的だが、そういった本を書店でぱらぱらと見ていて、よ…

Get Back

TOHOシネマズ日比谷で「ザ・ビートルズ Get Back: ルーフトップ・コンサート」を観た。今日が僕のIMAXサウンド初体験だが、なるほど、これが現時点における最新のビートルズの音ということかと思った。この分離感と立体的な奥行感はすごい。50年以上前の録音…

ヒット・パレード

Amazon Primeでハワード・ホークス「ヒット・パレード」(1948年)を観る。ハワード・ホークスの映画をそれほどたくさん観ているわけではないし、本作についてもとくには何も言うことがないのだけど、たとえば「ヒズ・ガールズ・フライデー」のような、ほとん…

マホガニ

ディアンジェロはどのようにサンプリングして「Devil's Pie」を作ったのか?視覚化して解説 amass.jp これはすごい…。しかしよくもまあ、こんなトラックでこんなやり方が成り立つと思えたものだ。 久々にディアンジェロ「Voodoo」をデカい音でしっかり最初か…

スプラッター

リック・デッカードの苦しみについて考えているうちに、八十年代に生じたホラー映画(スプラッター映画)の流行について思い出す。 当時もてはやされたそれらの作品はどれも、おおむね特殊メイクによる直接的な暴力・残虐描写が特徴的で、サム・ライミのデビュ…

望み

ファッション系商業施設のビルに入ったら、一階のフロアの様子がこれまで記憶していた雰囲気と全然違っていて、食品とか菓子類の売り場がやけに目立つ。エスカレーターで上りながら二階、三階、四階と順々に見渡してみたけど、雑貨とか百円ショップとかが目…

感情移入

どんな小説作品でも、まず小説としての世界の枠組みがあり、そこに登場人物が配置され、それぞれの立場の違いや目的や関わりが立案され、物語として展開されていくもので、P.K.ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」も勿論そうなのだが、しかしこ…

キップル

昨日の寒さは、もはや危険な領域に入っているのではないかと、外を歩いていて思った。自ら生成して身体の内側から冷気を押し返すはずの熱量が、あきらかに弱まっている気がした。エントロピーが増大していた。風邪は引きたくなかった。図書館を出たあと、ど…

デジタル・ロック

デヴィッド・ボウイの1997年作品「Earthling」を聴いたら、思わずあっけにとられるほど、まごうこと無き90年代デジタル・ロック・サウンドで、そうだったのかな、当時はみんな、こんな感じだったかもしれないなと、懐かしいような呆れたような複雑な気分にな…

梱包の内側

路面がぬれていた。外に出るまで雨が降っていたことに気付かなかった。昨日よりは寒くなかった。 外壁のメンテナンスのため、住んでいる集合住宅の周囲に先々週くらいからまんべんなく覆いがかけられている。外から見ると、建物全体がまるで美術家クリストの…

読者

小説を読んで、その登場人物や出来事を客観的な視点から眺めることのできる読者は存在しないと言える。そんなことはない、私は客観的な視点から眺めていると言うなら、その人はその時点で「読者モード」を自らオフにしているのだ。 読者というのは、いわば自…

インターステラー

Amazon Primeで、クリストファー・ノーラン「インターステラー」(2014年)を観る。二度目。宇宙船の外壁がえんえんと映し出されてるとか、巨大な菓子箱みたいな形をしたロボットの動きとか、ああいう無音・静寂・無時間なイメージを呼び起こす独特の感じは、…

A Love Supreme: Live In Seattle

昨年発掘されたという、ジョン・コルトレーンの「至上の愛」ライブ音源を聴く。1965年はまだ、コルトレーンはマッコイ・タイナーやエルビン・ジョーンズとは袂を分かってない。本作「至上の愛」のライブ演奏のメンバーはコルトレーン最強カルテット+ゲスト…

コロンバス

Amazon Primeでコゴナダ「コロンバス」(2017年)を観た。なかなか難しい、どう捉えたら良いのかがわからない映画だった。建築物よりも、それらを取り囲んだ豊かな森林風景こそが印象的だった。 コロンバスという地域があり、図書館や礼拝堂といった住民の生活…

会社のロッカーから、昔の写真がいっぱい出てきた。たぶん社内のウェブサイトに載せる素材だったものだ。ふつうにフィルムで撮って印画紙焼きされたもの。二十年近く前の写真だけど、それほど古い感じはあまりしない。ついこの前のことのようにも思うし、写…

ストップ・メイキング・センス

Amazon Prime(Qello Concerts by Stingray)でジョナサン・デミ「ストップ・メイキング・センス」(1984年)を観た。なるほど、デヴィッド・バーンというミュージシャンが手掛けてきた仕事の見事な一貫性を見せつけられたというか、この変わらなさの延長線上に…

橋の上から川面を見下ろしていたら、真下から一艘の船があらわれて左右に波紋を広げながら遠ざかっていった。それまでののっぺりとした川面に、船から生じた波動が両岸に向かってくまなくすみずみにまで行きわたっていくのを、じっと見つめていた。 船ってい…

DUNE デューン 砂の惑星

Amazon Primeでドゥニ・ビルヌーブ「DUNE デューン 砂の惑星」(2021年)を観た。古いSFとは、こういうものだな…という感じだった。じつにゆったり堂々としたテンポで、まるで巨大なクジラみたいに悠々と展開していく感じ。思えば、こういう大河ドラマ的にどこ…

発車直前のバスに乗ることができた。運転席のすぐ脇の手すりにつかまって前を見たら大きなフロントガラスいっぱいに雪の欠片が、まるで深海をうごめく微生物のように上へ下へと舞い散っているのが、映写されたフェイク映像を見ているようだった。路面や舗道…

悪事

先週図書館で借りたフィッツ=ジェイムズ オブライエン「ダイヤモンドのレンズ」を半分くらいまで読んだところで、その物語の推移とはあまり関係のない妄想が広がって、不思議な興奮を感じた。主人公に殺されるシモンは、かつてブラジルでダイヤモンドの洗鉱…

かつて

あのときの鳥と今ここにいる鳥は、果して同じ鳥だろうか、そのように思うことは多い。動物園にいるなら当然同じ鳥だろうけど、ふだんその辺を飛んでるサギだのヒヨドリだのは、去年や一昨年、まして十年くらい前に見たやつと同一の個体かどうかは、さすがに…

アメリカン・ユートピア

Amazon Primeでスパイク・リー「アメリカン・ユートピア」(2020年)を観た。デヴィッド・バーンという人がこんなに批評意識の強い音楽家だとは知らなかった。自分のやっている音楽に対して、ゼロからこれだけ意識的にステージパフォーマンスを作り上げてしま…

言葉

保坂和志「小説的思考塾 vol.6」の配信を観る。 死は終わりではない、そのことをもっと真剣に考えなければいけないということ。「亡くなった人は今も私の心の中に生きている」それは定型句みたいなもので、言葉として弱すぎる。「死んだら無になる」「死んだ…

ノマドランド

Amazon Primeでクロエ・ジャオ「ノマドランド」(2021年)を観た。夫に先立たれた初老の女が、家を持たない、いわばハウスレスとして、キャンピングカーでの生活を続ける。ひたすらフランシス・マクドーマンドの顔を見てるだけだった。それは何よりもフランシ…

美男美女

何千人もの人の顔写真を集めて、それぞれの特徴を偏差として計算した結果から平均値に該当する顔を取り出したら、それはいわば美男とか美女の顔になるのではないかと想像する。つまり美男とか美女というのは、平均的な輪郭や目鼻口のサイズや形状や各部位の…

枝豆

枝豆は八百屋でもスーパーでも、総菜コーナーに置いてあるやつを除いては、秋冬春は手に入らないものだが、見ると沖縄県産の枝豆が並んでいたので、それを買っていつものやりかたで茹でた。しかし真冬に茹でたての枝豆を食べるのははじめてだと思う。口にし…

グラス

昨日はワイングラスが割れて、今日はビールグラスが割れた。二日連続、不思議な連鎖反応。しかしグラスや食器を割るときは、いかにも明快な、手が滑ったとか倒したとか落としたとか、そういうわかりやすい失敗で割るのではなくて、いや、もちろんうっかりの…

伝達

寒い日に、冷たい酒や冷たい食物が美味しいというのはある。ニューヨークなら真冬の生牡蠣と冷えた白ワインが格別だと聞いたことがある。温めようとはせずに、外側を取り込もうとする。それにもかかわらずアルコールが路面から立ち昇る蒸気のように奥底から…