2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧

町屋良平「私の小説」を読んでいると、引っかかる箇所がたくさんある、とても重要なことが言われている、そんな箇所にいちいち絡めとられて、なかなか先へ進めない。 この、執拗に掘り起こすように書き繋いでいくやり方はすごいなと、けっして無視できない大…

明るく朗らかに、自分の話ばかり延々として、人に対してマウント取ってきがちで、どんな話題も結局は自分の結論へむすびつけて勝手に自足しがちな、そんな人物を含めた数名で、居酒屋の席を囲んでいる。その人のそのような性格は、長い付き合いで周囲の誰も…

考えたことを書きたいのだとして、書いてしまったということは、考えなかったということでもある。最初は考えたのだけど、書いてるうちに、書いたものが、考えていたことのように感じたので、それに寄せたのである。 だから書いてあるものは、書いた結果とし…

二か月ぶりに川崎駅を降りて目的地まで歩く。けっこうな頻度で訪れていたのはまだ夏だったので、川崎だけはいまだに夏でいてくれるのを期待したのだが、果たして当然ながらそんなことはなく、冷気が静かに夜をつつんでいた。さすがに夏は川崎からも遠ざかっ…

「五香宮の猫」の舞台となる町は、ぼくの父親の実家の港町にどこか似ていて、そして、ああした町、漁港や海産物を取り扱う商店や業者も立ち並ぶだろう港町であれば、野良猫があちこちにうろつきたむろしてるのは、察するというか、その郷里を訪れた際の記憶…

柏のキネマ旬報シアターで想田和弘「五香宮の猫」(2024年)を観る。舞台となる岡山県の牛窓町は、同監督2018年の作品「港町」と同じロケ地らしい。見てるだけで、湿った風と潮の香りが漂ってきそうな景色だ。 神社の敷地内に猫がたくさんいて、猫を目当てにそ…

金曜の夜、これからどうしよう。ダメもとで、一年以上行ってない鮨屋に電話したが、予想どおり満席でことわられた。ほかにあてもなく、ひとまず横浜から上野へ移動し、人でごったがえす立ち呑みの店に入る。店員がまるで羊飼いのように手の動きで空いてるス…

そういえば、昔は映画の予告編を観るのが、映画を観るのと同じくらい好きだったのだ。映画館はもちろん、VHSレンタルヴィデオの時代でも、DVDレンタルの時代でも、収録されている予告編はくまなく見ていた。中学生くらいのころ新宿の映画館で、本編予告編は…

映画の3時間は長い、2時間越えも長いと感じる。ならば90分ならどうか?ぼくは昔からそう思うけど、90分でさえ決して短くはない。決して短くはないのが映画というものだ。だから映画嫌いな人の気持ちはよく理解できる。 上映時間を問わずどんな作品であっても…

iPhoneが単なるタッチパネル式の通信端末から他社製アプリが共存可能なプラットホームへと変貌すべく、OSをバージョンアップしたのは2008年のことだ。あれを境に、日本の携帯電話ガラパゴス天国は終焉を迎えることになる。カメラも電子決済もワンセグも赤外…

「シビル・ウォー 」は土曜の朝八時四十五分の回を予約したので、当日朝七時半に家を出た。こんな朝早く家を出て映画を観るのは、たぶん小学生のとき「風の谷のナウシカ」だか「幻魔大戦」だか「クラッシャー・ジョウ」だかの初日早朝上映を新宿まで観に行っ…

「シビル・ウォー」終わって、錦糸町から日比谷へ移動し、TOHOシネマズ日比谷で黒沢清「Cloud クラウド」(2024年)を観る。 転売稼業で儲けた人間が、そのせいで被害にあった人の恨みを買った挙句、復讐される…という物語は「化けの皮」で、この映画に出てく…

TOHOシネマズ錦糸町でアレックス・ガーランド「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(2024年)を観る。 西部勢力と呼ばれるいくかの州をたばねた武装組織が、アメリカ正規軍を相手に戦争している。国家統制下のマスコミ報道は嘘ばかりで、どうやらアメリカ現政…

牛すじのカレーを作ったのだが、おどろくほど美味しくなかった。なんだかまるで、調理途中のものを食べてるみたい。塩を加えればまだ多少は、もっともらしい味にはなる。それにしてもなぜなのか。断っておくがスパイスから全部つくる今どきな本格カレーレシ…

フリートウッド・マックの曲を聴くたびに、ええと、この声の女性はなんて名前だっけ、クリスチャン・マクレーじゃないし、セシル・マクビーでもないし、クリストファーでもないしマクブライドでもマクラーレンでもない……と思って、ついに正解が出てこないま…

善福寺公園から西荻窪方面へ歩いていくと、途中にある東京女子大学の学生たちだろうが、歩いていく多くの若い女性とすれ違うことになる。友人とか集団ではなく、誰もが単独で、互いに距離をとりつつ黙々と歩いている。道幅は広くもなく、お店も色々立ち並ん…

荻窪駅から善福寺公園へ行くバスの発車を待っていた。車内は空いていて、窓の外は絵に描いたような秋晴れの空だ。停まってるバスは物音ひとつしないので、窓の外も同じくらい静かに見える。 二十年前を思い出した。二〇〇五年の一月から三月まで、荻窪の客先…

Apple TV+でアルフォンソ・キュアロン「ディスクレーマー 夏の沈黙」一話と二話を観る。ケイト・ブランシェットと夫の自宅にせよ、彼女の職場にせよ、ドラマ本筋ではないけど、カメラに映り込む背景の、すばらしい贅沢さ。こういう立派さは、日本のドラマに…

「ナミビアの砂漠」に出てきた二人の彼氏。深夜に帰って来て、鍵を出せずにドアを足蹴にする河合優実を優しく迎え、着替えさせて寝かしつける。料理を作りながら背中で相手に答えている。一人目の彼氏(寛一郎)の異様なほど献身的な態度を、河合優実はとくに…

新宿武蔵野館で、山中瑶子「ナミビアの砂漠」(2024年)を観る。河合優実という被写体があり、それに対して映画はどうするのか、映画として、彼女にどう距離を設定し、どのような出来事を切り取ろうとするのか、それが果たして上手くいくのか、その実験という…

今更ながら、泳いでいるとき、いつものように音楽を聴くのは難しい。と云うよりも音楽を聴くことと運動は、そもそも相性が良くない。 泳いでいるときは、気持ちが意図的に身体へ負荷を加えているので、そのような状態で音楽を聴くと、それは聴くというよりも…

ディック・ブルーナ「シンプルの正体」という小さな画集をたまたまパラパラと見ていたら、そこに掲載されていた50年代くらいのきわめてシンプルなスケッチ数点が素晴らしくて、思わず「マティスよりもいいじゃないか」と言いたくなってしまった。マティスよ…

気温下がった。いよいよ季節はかわった。強い雨の降る朝だ。風に取られそうな傘が重い。体中に雨が被弾する。風でふくらんだ上着の内側に冷気がしのびこむ。暗い朝だ。きっと雨は今日一日中、降り続くことだろう。大体おまえの人生なんて、せいぜいこんな色…

洗ったワイングラスを拭いてたら力を込めすぎたのか、ビ・・っと盾に一筋、ヒビが入った。はいこれでおしまい。自分のブログを検索してみたところ、これを買ったのは去年の四月である。ペアで買って、ひとつはたしか半年前くらいに割った。もうひとつが今日…

手が滑って、開けた直後の缶ビールを倒してしまい、すぐに立て直したら、少し間があってその後、飲み口から白い泡がもくもくと沸き上がって、あっという間に周辺に吹きこぼれた。なかばあきらめの心で、ゆっくりと拭くものを取りに行き、あとは机だの床だの…

目黒区とか港区は、家からは遠い(縁がない)印象だったけど、大手町から都営三田線という手があったか。これなら近くはないけど、遠くもない感じだ。 ひさしぶりに目黒の自然教育園に行く。曇り空の下、夜まで降ってた雨の跡が地面全体を黒く染めていて、木々…

Amazon Primeでジュスティーヌ・トリエ「落下の解剖学」(2023年)を観る。フランスの雪深い山中の一軒家に、夫のダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)と、妻で作家のサンドラ(ザンドラ・ヒュラー)、11歳のサミュエル(サミュエル・タイス)の家族が暮らす。夫…

U-NEXTで、フランシス・フォード・コッポラ「タッカー」(1988年)を観る。プレストン・タッカー (ジェフ・ブリッジス)は、起業家というよりは発明家とか芸術家に近いような、利益とか継続性にはあまり関心ない、ただ自らのアイデアと直感に夢中になって熱狂…

Amazon Primeで内田けんじ「運命じゃない人」(2005年)を観る。公開当時にも観たけど内容はほぼ忘れてた。ある一夜、あるマンションの住人と、その友人や元彼女やヤクザの親分が、当の住人は知らぬまま、さまざまな経緯で彼の住む一室を拠点に交差して、また…

Bさんから飲み会の誘いが来た。そんな、ついこの前会ったばかりじゃないか、そんなに頻繁に会う理由も必要もなくないか?それとも何か思惑や企みでもあるのか?と不審な思いにかられたが、よく考えたら、前回からちょうど一年くらい経つのだった。年一度くら…