トウキョウソナタ


恵比寿ガーデンシネマにて。これは素晴らしかった。最初の数シーンだけで、全身を戦慄が走った。ああこういう感じ久しぶりだなあと思った。観終わって、映画館を出てからもしばらくの間は深い余韻にいつまでも包まれて、あまり言葉を発することもできず、延々とさっきまで観ていたものひとつひとつを思い返しているだけしかできない。感想とかはどうでもいい気持ちで、ただ観たものを忘れないようになるべくたくさんのことをひとつひとつメモしておきたいような気持ちだけであった。黒沢清すごい。以前どこかでこの映画の予告編を観たときから、本作に映し出されている小泉今日子は素晴らしそうだと薄々気付いてたけどたしかに良かった。いや本当に、演出やカットの洗練も、移動するカメラも、自動車の動きも、映りこんでくる風景を揺らぐ風や降り注ぐ光も、…もう円熟の境地というか、それらをすべて含みこんだ時間の流れが圧倒的に素晴らしい。やっぱり映画って素晴らしいものだ。というか、映画を観てるのはこんなに楽しく快適な事であったというのを、久々に思い出した。観ている間、このまま終わってほしくないと思う、ことさえ忘れていました。