反復


 起きたら午前十時。昨日の残ったもので適当に朝食として、しばらくしてDVDでベルトリッチ「シェルタリング・スカイ」を観る。観終わって、三時過ぎで、着替えて、出かける。雨の降り始めを歩く。プールで泳いで、一時間後に建物を出ると、雨は本降り。傘を買う。雨の降る中、水泳後のふわふわした身体で歩いていると、自分だけがサラサラした薄い膜に覆われているような感じ。買い物をする。帰宅して、簡単に栓を開けはじめて、そのまま夕食。食後にDVDでマイケル・マン「ヒート」を観る。観終わって、二十三時過ぎで、後片付け。残った酒をグラスに注ぐ。DVDでゴダールゴダールの探偵」を観る。観終わって、一時半で、寝る支度の段階。

 映画も、水泳も、一日の中に詰め込んでの訓練、という感じ。反復的に、何度も往復して、感触をたしかめている。一方的で短絡的な取り組み。むしろその方が心やすらぐ思い。水泳が面白いのは、笑うほど、いい感じとダメな感じが両方感じられることだ。向上できそうな予感と、どう足掻いてもダメそうな予感が、嘘みたいに両立する。取り組みへの期待が、かなり奥行き深い。水泳について考えるとは、その感じを思い出すということだ。次のときにも、同じことをするのだが、それが別の何かを掴むかどうか。そのために、それまでの感触に照らし合わせて、何かと反応する情報があるかどうかを調べたりもする。手がかりは少なく、期待値も低い。自分の行いに確証はない。期待は常にしぼむ。きわめて伸縮性に優れた袋を抱えている。