教師


蓮實重彦三島賞受賞の記者会見の映像を見た。映っていたのは、作家というよりも、教育者の姿そのものという感じで、ああ、教師っていうのは常に、こうなんだなあと、なぜか不思議な感動が沸き起こってくるのを感じた。僕は、昔、子供の頃は、教師みたいな職業なら自分に向いていると、勝手に思い込んでいたけれども、それは大間違いだったということを若いうちに知った。大昔に一年だけ、とある高校で非常勤講師をやったことがあって、そのときにこれは、俺には無理だと思い知った。教師というのは、まさにパフォーマーで、存在がパフォーマティブであることが前提で、そして自分はそのようには存在していないのだというのを痛感したものだ。教師とか役者とかお笑い芸人とか、まさに才能だと思う。仮想化した自分を動作させ続ける才能、みたいな。