崩落/残存



壊す音が毎朝聞こえてくる。何日もかけて、少しずつゆっくりと壊しているようだ。消防車についてるような太いホースで放水しつつ、パワーショベルの腕がぐいーっと上の方まで伸びていって、建物の上角の辺から少しずつ壊していく。そうすると瓦礫とかが、ぽろぽろと角質化した表皮というかフケみたいにして下に落下していく。まるで異様に細くて長いネコの腕がにゃーっと伸びてきて、お菓子の端の方をカリカリやってるみたいである。すごい慎重で、一気になぎ倒すとか、そういう感じはまったくない。でもある一角が無くなるだけで、今まで見えなかったはずの向こうの景色が見えるようになって、それがものすごくちょっとだけ、軽く新鮮である。本日は、作業も休みらしく静かで、そのまま冷たい雨に打たれております。