露店


さっき、眠くて意識が朦朧としてしまい、ついブログをアップしてしまった。あんな文章アップするつもりじゃなかったのに…。


立ち食い蕎麦屋で、これって本当に玉子かよ!?と怒鳴っている男がいた。半熟玉子が、どうみても本物には見えないらしい。では一体、何に見えるのか?そこがよくわからない。店員のおばさんが、うんざりした様子で、本物ですよー、本物の玉子ですよー、と機械的に繰り返しているのだが、男はなおもしつこく食い下がり、いやこれ違うだろー違うだろーがよー、玉子がこれじゃあ、おかしいだろうがよー、人をなめんのも、いいかげんにしとけよコラー、などとひたすら繰り返している。それが相当長いこと続いていて、こう着状態のままで埒が明かない状況なので、そのうち、店内全体を不思議な苛立ちがつつみ始め、カウンターの前での紛争に対して、本来ほぼ無関係なはずの他の客までもが、露骨に迷惑そうな素振りで、騒いでいる男をマトモに見返して、うるせぇなあという表情でチっと舌打ちしたり、うっせんーんだよお、と聴こえるか聴こえないか程度の小声で呟くなど、なにやら激しく不穏な空気が充満しはじめていた。


とはいえ、そのような苛立ちを共有しながらも、すべての客は皆、蕎麦を食うのに忙しいのだが。始終、ずるずるずるずるずると蕎麦を食う音が、あちこちから聴こえてきており、皆が激しい吸引咀嚼嚥下を繰り返しているというのは少しでも気にすればたちどころに感受される当たり前のことなのだが。だから、おそらくそのとき店内を覆っていた苛立ちとは、立ち食い蕎麦屋で食うこと以外の行為に精力を傾けている人間に対して意識以前の段階で、食事中の生き物である我々の心の中に避け難く立ち昇ってしまう原始の苛立ちであったのかもしれない。


お蕎麦?あったかいの?はーい。などと、店員のおばさんは新たに来た客の相手をする事で露骨にクレーム客を無視する。ワカメね。てんぷらね。はーい。お蕎麦?はーい。三百七十円です。お客さんお蕎麦?お蕎麦ね。はーい。…混み合ってきて、クレーム男がカウンター前の混雑を悪化させつつある。


後が続かないので、この話はここで終りだ。歩きながら缶ビールを飲むときの話に移ろう。そういうときは、なるべく早めに飲み干さないと、どんどんビールが温くなるのだ。とっとと飲み干すが良い。


それにしても、まったく何のうるおいもゆとりもない毎日で、酒を飲む暇すらないじゃんか。


最近、夜になると眠くなってしまう。夜更かしな人間だったはずなのに、最近はそうじゃなくなってきて、ちょっと気を許すと寝てしまうのだ。で、朝はわりと早く起きてしまうのだ。アラームが鳴る一時間前とかに、起きてしまう。何もかもが、今までの縮小再生産だ。集中力とかも長くは続かなくなっている。というか、集中力というもののイミテーションが動作しているのだ。いやだいやだ。そんなだったら、集中力なんて完全になくなってしまった方がマシだ。ほとんど自動操縦で生きる。行為も経験も、先取りされたパターンの内側でしか発生しなくなる。ばかみたいだ。ほぼすべての体験は、今まで一度以上参照されているものばかりなので、何を見ても、実質は見た先を見ているわけではなくて、自分の中の過去のキャッシュがコールされて適当に連続再生されてるだけの、途切れ途切れの、ブツブツと千切れた、欠片の寄せ集めみたいなものを、これからは体験と称してあらためて記憶にとどめて大事にしていくのか。同内容のリヴィジョン違いだけが延々と増えていくだけか。そんなのいやだ。とてもつまらない。数はもういいから、手ごたえだけほしい。内容なんてどうでもいいから、肌触り、あの質感こそがほしい。頬面を張り飛ばされて、身体ごと吹き飛ばされたい。でもおそらくもう、それは叶わぬ願いなのかも。だとしたら何をする?車の運転でもするか?ただ途方にくれながらぐるぐると周囲をめぐるか?


蕎麦は、うるさいことをいう人が山ほどいるので、それはそれで傾聴しつつ、でも立ち食い蕎麦なんかの「ゆでめん」でも、実にうまいと思える蕎麦というのはある。別に蕎麦なんて、これで充分だとさえ思う。「ゆでめん」というのはおそらくRolandの303とか909とかと同じようなものだろうと思う。要するにイミテーションなのにオリジナルを凌駕してしまった。いや、オリジナルが生成するヒエラルキーの世界を根本的に逸脱してしまった。とでも言うべきものなのだろう。


この話もここで終り。書いても書いても下らないことしか書かないので酷い。


人間の世界において、一定の評価を受けて、認められるということ。


それを目指している人の努力をうつくしいと思う。


でもつい、そんなのどうでも良くない?とか言ってしまったりもする。


でもやっぱり、努力してない人よりも、努力してる人が好きだ。努力してるから好きなのではなく、その人の努力を支えている幻想の強さを好きなのだ。


一人ぼっちは寂しすぎて、さすがに耐えられない。


寂しがりやだけど、毅然とした、誇り高い、ちゃんと自分を持った人が良い。


というか、なにが 良いのかは、なかなか事前にはわからないのだけど。


なんかいいね、という感じで良いのだ。元々の好みのタイプとか、そんなのは無い。