夏終了


僅かに残った夏の暑さが、アスファルトの地盤の下にみんな吸収されて乾いた温風のように立ち昇ってきて、自分のズボンの股間やわき腹から背中にかけての湿ってくぐもった空気をすっかり清潔に乾かす。タクシー乗り場を探す。どっか遠くでゴミバケツがひっくり返る音。昇降機の油圧装置が疲れ果てたかのような深いため息をつく。空が薄青く染まりだして、見上げれば電線の黒い線が縦横無尽に交差するのがはっきりと見える。背筋を伸ばし、両腕を高く上げて身体全体ぐっと伸びてみると、自分の肺腑に空気がどっと流れ込む。