Long, Long, Long


ビートルズホワイトアルバムに「Long, Long, Long」という曲がある。あの曲をターンテーブルに載せて、ピッチを最大に上げて再生してみると、すごく普通に軽快なポップナンバーになるって知ってた?と聞いたら、ううん知らないというから、あれはどちらかというと原曲の方が不自然に間延びしたような、無理やり再生スピードを下げさせられてしまったかのような曲なんだよ。ピッチコントロールしてあげる事でようやく本来の素性をあらわすことができるようなたぐいの曲なのさ、と言って、じゃあ今から実際に試してみようとなって、ホワイトアルバムのLPを探したけど、あれ僕はそもそもホワイトアルバムはLP持ってたっけ?なかったかもしれない。ビートルズのLPなんか一枚もなかったかもしれないという気もする。ほかなら色々あるので適当に見てたら、そのうち「Revolution 1」が聴こえてきた。誰かが勝手にレコードをかけたのだ。あぁなんだ、やっぱホワイトアルバムあるんじゃんと思った。「Revolution 1」を聴くたびに、ビートルズホワイトアルバムもいよいよ終盤にさしかかったなあという気分に、いつもなる。とてつもなく多様な経験をつんできたあとの不思議な軽快さと思い倦怠。でもLPだとすると「Long, Long, Long」は「Revolution 1」とは別のレコードのはずで、それが一枚目の最後だったか三枚目の最後だったか、そのあたりがいまいちはっきりと思い出せない。いやそれ以前に、LPの二枚組みって一体レコードが何枚あるのかがわからなくなってる。変な話かもしれないが、二枚組みってA面からD面まであるので、それだとなんとなくレコードが4枚あるような気になってしまって、じゃあ「Long, Long, Long」はどこだよ、と思ってしまう。でもふと気づいたら、いつの間にかぼくは「Long, Long, Long」の入ったレコード盤を手に持っていて、それはなぜか7inch盤くらいの大きさしかなくて、なぜホワイトアルバムの中で「Long, Long, Long」だけが特別に7inch盤になってるのか、不可解の念がますます強くなったが、とりあえずは冒頭の話を確かめるために再生してみたのだ。でもどうやら思ってたような感じではなかった。そもそも「Long, Long, Long」をそういう曲だと思っていた事の根拠がみつからなかった。