DVDで「ゴダールの探偵」をみる。これは・・・やはり寝てしまう。まあ、寝ないで最後まで見たけど、なんとも乗っかりにくいというか、おそろしく掴み所がない。


人間同士の「関係」というものが、そもそも何なのか?と思ってしまう。こんなにわかりづらい「関係」というものが、あるだろうか。いやむしろ、これまで僕が見てきたさまざまな映画で描かれていた「関係」というものが、なんとわかりやすいものだろうか。


所謂、誰と誰が、こうなって、その結果、何かがこうなった、みたいな事が、見ていてあらわれてくるわけではない。いや、あらわれてはくるのだけど、その後、すぐ登場人物のクローズアップになり、誰かの話し声を聞いている表情で、いや、表情というよりも、仕草というか、目線というか、なんとも云えないような、そういう一定の時間が流れ、さらにまた別の、誰かと誰かが一つの部屋にいて、そこでのある時間が流れ…という、そこには、同じ時間内で複数のことが起きていた、という意味でもなく、それぞれが勝手にしていた、という意味でもなく、もうただひたすら、その場に納められてしまっている。そして主にピアノの、ドロンドロンドロンと鳴り響く、あの音楽の、なんとも鈍重な、重厚な、しかしほとんど不愉快に感じられるくらいビタッと切られてしまうあの処理の仕方。ナタリー・バイとか、ほとんどムチャクチャな人物って事になっている。いつでも普通らしく、うつくしくて憂いのある顔立ちできれいだけど、でもさすがにこんなヤツいねーだろ、という感じだ。まあそれは面白いといえば面白い。むしろ、ちょっと壊れてるような周りの人物達の方が、それはそれで一貫性があって、むしろまともに感じられてしまうほどだ。


まあ、これこそまさに…僕の中でのゴダールという感じ。たったの90分なのに、見ているのが、超・大変。でももう、しばらくはこれは見ないでいいや。というか、忘れてるだけで、たぶんじつは今までも何度か見てるのだろうな。いくつかのシーンとかは、なんとなくおぼえてるから。でもあまりにもこういう感じなので、きっと見るたびに、何度でも忘れてしまっているのだ。でも、今回は今までいちばんちゃんと見たので、さすがにこれで、一度見たということだけは、忘れないだろう。だとすると余計に、これでもうこの先、当分は見ない。ということになるだろう。


この映画ではやっぱり外のシーンが少ないというのも、退屈する理由の一つかもしれない。自動車も最後の方にしか出てこないし。元気良く走り回ってるのは、ジャン=ピエール・レオだけだし。モノを投げるシーンなんかは結構いいと思うところも多かったが。あと女性のヌードのシーンも多いのだが、だいたい「勝手に逃げろ/人生」の方が良かった気がする。一番最初の、JVCのカメラと女性の脚のシーンの美しさは素晴らしいし、あの女の子の水玉のワンピースはかなりいいのだが。あと、パソコンも、あのグラフィックソフトもかわいかった。ビリヤードも、青い羽の扇風機も、タイプライターも、みんな良かったじゃないか。でも、それでも見てるのはわりと大変。…パッケージもカッコいいし、何も考えずに選んでいると、正直、「ゴダールの探偵」が一番面白そうに感じてしまうのだが。