踊ってばかりの国、のボーカルの歌は、これはもう、圧倒的に、素晴らしい。歌がどうとか曲がどうとか、そういう話は、ほとんどどうでも良くなる。この歌の力。それだけで圧倒的だ。で、こういう連想もありきたりだけど、やはり忌野清志郎、を思い浮かべて、超ひさしぶりに、トランジスタ・ラジオを聴く。…で、これは想像だが、ぼくがまだ小学生くらいのときの当時の、まだ少数の人々が、おそらく忌野清志郎をはじめて耳にしたときも、ある種の消化できないようななんとも説明できないような計り知れない衝撃が生まれたのだと思うが、そこで、それらの人々が、この世界に、こういうボーカリストの存在があること知って、それに対して、ぐっと深い緊張を感じて、この後で何かが起こるのかもしれないという期待とも不安ともつかない思いで待っていて、そのときに送り出された曲の一つとしての、トランジスタ・ラジオ・・・、というような聴き方で、僕もこの曲がはじめてそんな風に聴こえてきたので、かなり驚いた。もう耳タコも甚だしいような曲であるのに、踊ってばかりの国、のボーカルのおかげで、いきなり歴史的な過去が今の生々しさに甦った。この、慎ましい、なんてことない曲が、このボーカリストのポテンシャルと可能性を、ぎっしりと詰め込んでいて、計り知れないポップミュ−ジックの深みをもっているし、しかもさらに重要なのが、そういう聴き手の気持ちを明確に先取りするかのように、出来事として、まだ起こってない事、想像のことを歌っているのが素晴らしい。凄いと思ったボーカルが、次にどんな曲を作るのか?という、枠内に、この知らないメロディ、聞いたことのないヒット曲が聴こえてくる。すごい。そして次の曲。ステップが始まったけど、音質がすごくいい。こんな曲だったっけ。リマスター素晴らしいな。今更だが。