誰もいなくなったオフィスで一人で仕事をしてると、結局ずるずるといつまでも居てしまって、思ってた時間を大幅にオーバーしてしまう。こういうのはかなり久しぶりなのだが、この独特の居心地のよさ。行く先の電気を着けないと真っ暗ってとこが、また良くって、窓の外は夜の街並みでクルマが行き交っていて人が歩いていて、静寂の薄暗い居室内からそれをたまに見ながら発光するモニタに目を戻すと眩しいみたいな、なんだか、何年も前から、こんなことばっかりやってるのだなあと、今更のように遠い目になる。


ウチの会社はまた増床したらしく、新しいフロアができていて、新しいとまず入口から入って、どこがどうなってるのかわからないのが楽しい。右と左とあって、右手奥に歩いていくと、急にもう一個ドアがあって、そこは入口とは別の認証キーになっているようで、自分のIDを登録してもらって、中に入ったら、明るい室内の中央に雑然と機器類が置かれていて仕事している何人かがまだ残っていたので、少し雑談してからまた出る。また真っ暗な通路になって、周囲にやたらと光るものがあるのを通り過ぎて出口を出る。


皆が、色々なことを考えているが、僕は不真面目なので、誰の話もあんまり真面目には聞いてないのかもしれないとは思う。誰にでも、うんうん、そうだねえとしか言ってない。それでも、会社全体がこう薄暗くて、この時間になっても、こうしてところどころ光っているのだから、なかなか簡単ではないさ。そう簡単に結論は出せない。しかし我ながら、何やってるかなあとは思う。