朝方の山手線に乗ったまま眠ってしまい、何度もぐるぐるとしていたらしい。はっと気付いたら朝の7時で、秋葉原。妻にメールして、このあと西日暮里で降りて、もうすぐ帰ると告げるが、そこからが長かった。またはっと気付いたら、今度は渋谷で、西日暮里は真裏に行ってしまった。気持ちを入れかえるために外回りから内回りに乗り換えて、再度西日暮里へのアプローチを試みる。またしばらくして、今度は品川だった。なにか得体の知れぬ困難さに直面していた。映画ゼロ・グラビティを思い出す。自分は無重力状態のなかで、流されながら宇宙船の壁の出っ張りにしがみつこうとしているが、じたばたしながらひたすら流されてしまうだけだ。そんな風に考えながら、たぶんまた制御が外れて、その後何度目かのアタックで、ようやく西日暮里に降りた。こんな簡単なことが、無重力状態だと信じがたく難しい。千代田線からは無事に流れて、たぶん九時か十時に帰宅して、すぐに眠る。起きたら午後三時くらいだったか。素晴らしい晴天の一日だったらしいが、僕はそれを知らない。妻は昼過ぎから一人で、快晴の空の下おだやかな空気のなかを、大谷田公園まで散歩に行った。咲きはじめた梅を見た。