青い体験


さっき、テレビを付けたら、1973年のイタリア映画「青い体験」がやっていたので、つい、最後まで観てしまった。僕の世代の男性ならほぼ誰でも知ってると思われるエロ・コメディ映画である。


何十年ぶりに観て、モロに谷崎ではないかというのが第一印象。谷崎原作の映画なんて、じつはほとんど観てないけど、でも少なくとも「卍」とかよりも、「青い体験」の方がよっぽど谷崎的ではないかと思う。まあ、最後に主役の子が「最終段階」まで行ってしまうというところにおいて、「成就」の具現化において、中空に掲げられたはずのそういったものは皆、落っこちてしまうのだが、少なくともそれまでの展開は秀逸に、律儀なまでに谷崎的。


子供の頃、この主役の子供(アレッサンドロ・モモ)の顔が、ほんとうに嫌いだったのを思い出す。この煮えきらないくせに、権力を傘に着て、やりたいことをやるという、卑劣かつ愚劣かつゴミのような、まさに虫唾の走る、拷問刑にふさわしいヤツだと思っていたのは僕が中学生くらいのときである。残酷なことは嫌いだけど、残酷な目に合わせてやりたいヤツがこの世に存在するというのも当時の自分においてはまた、否定できぬ真理であった。


アレッサンドロ・モモという人。今はじめて知ったけど、1974年に交通事故で、17歳で亡くなってるんですね。