ャズ


大西順子の新しいアルバムは、まだ冒頭から三曲ほど聴いただけだが、これは、なかなかだ。…ジャズに目覚めてからずーっとジャズばっかり聴いて演奏して、ジャズにひたすら身も心も捧げてきた人が、そう感じているジャズ、というものへの感覚、というのを想像しながら聴く。のが、ジャズを聴くことだと思っている。いわば、誰かの主観の中にあると思われる、本来ならわかりえないものを、こちらの主観でわかろうとする、それは美術でも小説でも、だいたい同じだと思う。あたりまえだけれども、それは、計り知れないものであるから、ちょっとやそっとでは「理解」とか「共感」なんてできるわけがなくて、それであたりまえである。ジャズは昔から、僕は嫌いではなくて、その共感のし難さ、が嫌いではないのだと思う。ある部分では、ほとんど魂をもっていかれるくらいの吸引力を示しながらも、ある部分では異様な取っ付きづらさ、理解しがたさ、不細工にしか思えない感じ、が両立している。それが、今でもそうだと気付かせてくれるようなものに出会うと、おお、これだと思う。この、ぶ厚い抵抗感。それは、進化してないとか、旧態依然とかいうのとは全然違うことである。