芹・アナゴ


家でひたすらWONKの音源をヘビーローテーションする日中。天気はよろしい。昨日、根津で食べた芹が、じつに美味しくて、ああ芹いいなあ、ということで、芹含む湯豆腐の具材を買いにいったら、魚売場にアナゴが売っていて、これ、白焼きにしてみるか、白焼きも美味いよねえ、安いし買ってみますかと言って、500円弱の半身を買う。


家に帰ってアナゴの調理方法を調べてみたら、思ったより面倒くさそう。単にグリルで焼けばいいってものではないのだ。まず包丁でぬめりを落とし、塩揉み洗いして、水気をとって串に刺して、熱湯で湯引きして、そのあと表面だけ火に炙ってできあがりだ。それだけといえばそれだけだが、いやけっこう面倒くさいでしょ、でもやるしかないとなって、とりあえず頑張った。


道具としては、まあ当然ながらバーナーは無いので、そう上手くは炙れない。だからガスコンロ上に網を置いて加熱するわけだが、知ってる人も多いと思うけど、昨今販売されているガステーブルはSiセンサーなる安全装置がもれなく必ず装備されている。うちは使っていたガステーブルが老朽化したために二、三年前に買い換えたのだが、そしたらそれがSiセンサー付きで、今やそれが付いてない製品というのは基本的に販売してないらしい。


で、それが付いてるとどうなるのかというと、過加熱防止、立消え防止みたいな、要するに火の点いてる箇所の温度が一定以上高くなると、ガスが自動的に消えてしまう。したがって鍋に火をかけたまま放置しても、空焚きになってもちゃんと火が消えて安心ですよ、というものだが、これが場合によってはじつに不便で、まず直火でものを焼くということがほぼ不可能になった。干物とか、ある種の野菜とか、焼き鳥だの串焼きだのでもそうだが、いわゆるグリエしたい場合に、今のガステーブルではまず不可能なのだ。あっという間に安全装置が効いてしまうのだ。やってみるとわかるがこんなに不便というか理不尽なことはない。何度も何度も火をつけ直して何とか熱を加えようとしてもほぼ無駄である。悪いけど本気で違法改造したくなるレベルだ。これ、もっと世間で大騒ぎにならないのが不思議なくらいに思っているのだが、どうなんだろうか。


という事で悲しいくらいの根気と時間をかけて、湯引き&蒸し済みのアナゴ表面にかすかな焼色を付けた。こりゃなかなか苦労が多くて、ちょっと家でやるのはしんどいなと思ったのだが、出来上がったものは予想を越えた美味しさに仕上がっており、すげーこれ美味しいー、と騒いで狂喜した。日本酒との相性が、すばらしすぎる。ある意味、お店で注文するやつに匹敵する、いやもしかしたら超えてる。こんなに美味しいなら、もっと買ってきたら良かったとか、御徒町の吉池ならもっとデカイのがあるかもとか、さっきまでの苦労を忘れていい気になった発言をくりかえした。


そしてもちろん、芹も美味しい。芹だの春菊だのほうれん草だののお浸しだとか鍋だとか、なんでそんなものをこれほど美味いと思うのか、つくづく不思議だ。子供の頃は、あんなもの人間の食べるものじゃないとか、心から思っていたのになあ。


三宅さん東京来るといいのに。どうなるのかまだわからないが、会えたら嬉しい。楽しみだ。