空腹

会社出て、プールで泳いで、結局そのまま夕食は抜いてしまった。運動して疲労して脳内に快楽物質が分泌されるのが気持ちいいというのはあるけど、空腹時にも似たようなヤツが分泌されている気がする。空腹感のなかで、なぜか身体のすみずみにまで、状態の変動にともない養分の動いて再配置させられている過程が意識されるような、あらゆるサービスのチェックが走ってるようなモードに入ってる感じがある。とはいえ、これから帰宅して眠るまでずっと水だけ飲んで過ごすというのは、いったいその夜はこの後どれだけ果てしないのか途方にくれる思いもある。空腹というこの感覚。それはそれでありがたいというか、それはまだ自分が健康で生きようとしていることを示す、まだ幸福な人間の範疇にあることを示すかのようだ。このあと商売を続けていくのか廃業するのか迷ってるときに、取引先からいつものように御用聞きが来るので、ついいつものように発注して済ます気分に似てもいるような、空腹になれば今までの通りに何かを食べて、今後もしばらくそうやって相手先との取引が続いていく。