音楽

Steve Coleman & Five Elementsの「Live At The Village Vanguard Vol. I Embedded Sets」は先週からずっと帰宅時に最寄り駅から家まで歩くときの十五分くらいの時間に聴いているので、だいたい一日あたり約一曲しか聴けず、まだ全体の半分程度しか聴けてない。しかしその一曲がほんとうに凄い、唖然とするようなとんでもない演奏。これのおかげで他に聴きたい音源もあるのにぜんぜん聴けなかったのだが、今日色々とまとめて聴く。tofubeatsの新作「RUN」は中盤からのインスト曲がモロにディスコ/テクノでとてもいい感じ。ボーカル曲は全体的に前作の方が面白かったかも。Nate Smithの「Pocket Change」は、映画「バードマン」サントラでのAntonio Sanchez的な感じで、聴いてるだけでひたすら気持ちいいドラムソロ曲群。ドラムソロって、60年代とか大昔のロックのライブ盤なんかだと退屈で死にそうなやつばかりだが、最近は本当にすごい。ドラムソロだけのライブとか、全然アリだ。というか路上でやってるドラムだけ(というかスネアとハットだけとか)でも、すごく面白くて立ち去りがたい演奏とかたくさんある。

スペースシャワーTVのフェス映像を見ていて、それも曲ブツ切りの部分紹介なのであまり面白くはなかったのだが、Grapevineとかフジファブリックとか、今まで聴いたことのない日本のベテランロックバンドの音で結構面白いと思えるものもあった。スガシカオを久しぶりに観た。安定感抜群のベテランらしさだが、ちょっと一昔前っぽさも感じた。

東京JAZZのダイジェスト映像も見た。グラスパーのバンドとかハービーハンコックとかも、まあ良かったけど、やはり何よりもコーネリアスがひたすら素晴らしい。

コーネリアスバンドの一員でもある大野由美子(Buffalo Daughter)も参加しているJeff MillsのバンドSPIRAL DELUXEの「Voodoo Magic」ちょっと前に届いたのも聴いたが、力の抜けてあっさりしたジャムセッション集といった内容で、まあこんなもんかという感じ。盤としてはかなり重量級のヴァイナルで、無駄に贅沢なパッケージ仕様であるようにも感じられ、こういう妙に趣味っぽい感じがいかにも最近のJeff Mills的というか。如何にもおっさんが「まあ一応買っておくか」とか言いながら買うレコードという感じだ。(だから僕が買ってるのか…。)

夜になったのでPaul Blayのピアノソロ、アルバム「Alone, Again」より怖いような静謐さの「Ojos De Gato」を聴く。すごく久しぶり。二十代のときの、一人で部屋に居た毎夜の日々を思い出す。続けて「And Now The Queen」かなしいのかおかしいのかわからない宙吊り感。さらに続けてアルバム「Open, To Love」より「Closer」「Ida Lupino」「Seven」と聴く。聴いてるあいだは、時間が止まってしまっている。この世には、自分とは違うテンポで時を刻む時計がある。なつかしくもないし、嬉しくも悲しくもなく、何でもない。Paul Blayを再生したら、いつでもまったく同じような音があらわれる。Paul Blay的な時間は常に作動する。

時計を見て、さあ、もう寝なければと言ってあちこちのスイッチをOFFにして照明を消してグラスを洗って歯磨きして部屋を後にした。ばたっと眠った。