Valpolicella

男二人で忘年会、というかただの呑み会。僕の退社が遅くなりそうだったので先に出た相手に桜木町まで移動してもらう。さあ今からどうしよう、今日は一年でもっとも人々が宴会する日だぞ、どこに電話しようがどの店もおそらくすでに全部満席に違いない。でも八時過ぎたあたりから絶対に空席も出てくるはずと予想し、それまで待機のゼロ次会として野毛の立呑み店を二軒ばかり渡り歩く、わりとがっつり飲んでしまって一時間ばかり経過したので、よし故郷の方角へ移動しよう、となって東海道線に乗り込む。しかしいつもと同じくトーキョー・イーストエンド~チバ方面までの道のりは遠く、酔いもいつしかすっかり覚めて車内でふつうに死んだ魚の目になって二人とも無言でぼけーっとする。北千住駅に到着して、思い浮かべた店の一つに電話したら、はい今からでしたらお席ございますと予想通りの返答で再起動される。お店に到着してすいません男二人ですと言ったら、あらお隣のテーブルは男性四名です今日はなぜか男性ばかりでとサービスの女性が苦笑してる。ウォークインセラーのあるとてもいい店、選んだイタリアのヤツが注がれたグラスのなかですばらしい芳香を放ったのでよろこぶ、あー良かった今日のすべてが報われた、今日を生きのびたのだと心から思う。