境界


ブログに書く内容を書き始める、通夜、葬式、その後…と書いていくつもりだけれども、なかなか面白くないというか、上手く書けないというか、少しだけ書いて、それを読み返すと、つまらなくてその先を書く意欲が沸かない。


なので散歩に出掛ける。駅前を越えて、ふらふらと川沿いまで。小菅水再生センターという下水処理施設があって、その建物の屋上ぜんたいが、小菅西公園という公園になっていて、梅と桜が多く植樹されている。それらを見上げたり、香りのする方へ移動したり、枝の先の花をじっと見ていても、結局はその向こうの景色を見ていたりする。まともに見て、見えるものじゃないなあと思う。見ている手前で想像するくらいの状態でようやく見ているようなものじゃないか。何を言ってるのかわけがわからないが、視界の端にちょっと見えるとか、見終わった後とか、そのくらいで現れている脳内の残像くらいが丁度いいというか。


猛烈な風に吹き付けられながら堀切橋をわたる。荒川の向こう側、千住柳町に入って、柳原千草園入り口脇の沈丁花が、ああこれぞこの季節だわと思わせる、馥郁たる香りを放っている。


北千住駅前で、丈詰を依頼したスラックスを受取る。買った翌日に受取るはずが今日受取りになった。買ったときは父がこの世にいた、受取ったときには父がこの世にいない、ある人物の存在した世界と存在しない世界、その境界をまたいだ黒いスラックス。それを言い出したら、何もかもが皆そうなる。