Sakamoto

午後から身体が風邪の症状をあらわしはじめた。それでも強引に水泳でもしてやろうと思っていたのだが、退社した段階で頭にもやが掛かり全身を走る寒気とぼーっと熱に浮かされたような朦朧の混合状態で、これはもうだめと思ってまっすぐ帰る。

帰宅して食事後、坂本龍一のドキュメンタリー「Ryuichi SakamotoCODA」の録画を少し観る、坂本龍一も既に六十代後半なのか。きれいな白髪で、年月の刻まれた顔、鼈甲縁のめがねは似合っている。映像の途中で挿入された映画「シェルタリング・スカイ」でジョン・マルコヴィッチデブラ・ウィンガーが二人砂漠を歩いている場面、あの二人も鼈甲縁のサングラスがよく似合っていて、たしか映画の冒頭でモロッコ到着直後に着てた当時の旅行者っぽいスーツもよかった。坂本龍一はNYの自宅マンションのような小さなスタジオで、屈みこんで巨大な銅鑼だの瀬戸物の瓶などを叩いたりヴァイオリン弓で擦ったりして、良い音だなーとか言いながらニターっと笑っている。この映像で確認できる一つ一つが、やがてアルバム「Async」に結晶していくのだろう。それにしても楽しそうだ、が、凝縮感のない、ある種の崩落を感じさせなくもない笑顔だ、年齢を重ねるというのは、図らずも、こういう表情をも得るということなのか、「ラストエンペラー」の最後で子供に向けるジョン・ローンの笑顔もこんな感じだったろうか。