ブルーノ・ムナーリ

風の冷たい寒い日。「ブルーノ・ムナーリ展」会期が終わる直前の世田谷美術館へ。方法以前のアイデアのレベルで呆れるほど多種多様というか、思いつくことは全部やってしまう感じで、、しかしどの作品にも本人の作家性のようなものが一貫してすみずみにまで息づいている、まさに二十世紀の才人クリエーターという感じだ。あまりの自由闊達さと軽やかさに翻弄されるというか、煽られるというか、その場で影響・感化されてしまう。もしかすると自分にももうちょっと、これらの作品たちほどとは行かなくても今よりも少しばかりは自由に軽やかに何かができるのではなかろうか、自分にももうちょっと可能性あるんじゃなかろうかと、何の根拠も具体性もないままで、自分自身にあるかもしれない未知への不思議な期待と不安感につつまれてしまって、妙に落ち着かぬそわそわした気分になってくるのだ。玩具とかゲームとか絵本とか、子供に向けた媒体が多いが、やはり、絵本がいいなあと思う。その直前まですごく品のいい抽象化単純化の作品群を観てきて、ふいにあの色彩と紙の質感の在りようが目の前にあらわれると余計に素晴らしい。みどりずきんちゃんの緑のうつくしさ、きいろずきんちゃんの超がつくほどのカッコ良さには感動した。

非常にどうでもいいことというか、上とは関係ない話だが、作品キャプション「役に立たない機械(macchine inutili))」と記載された文字を見ていて、inutiliという字は、In Uteroに似てると思った。In Utero(子宮の中)は、ニルヴァーナの2ndアルバムのタイトルで、もちろんムナーリとは何の関係もない単なる連想。ニルヴァーナは僕はほぼ聴いてないというかどちらかというと苦手な音で、有名な1stアルバムも未だに聴いたことがない。が、そのときだけ頭の中でIn Uteroが大音量で再生された。