バリ・アラビカ

ふだんコーヒーをそれほど飲むわけではないが、図書館の帰り道にある喫茶店にはよく立寄る。日々の生活において、きちんと淹れてあるコーヒーを飲む機会はその店を訪れたときだけだ。注文はいつもその日のサービス価格になっているレギュラーコーヒーをお願いする。今日はバリ・アラビカという豆。飲んでみたら、これが実に美味しい。美味しいコーヒーを飲んだとき特有の、深みとさっぱりが絶妙に交じり合って体内の鼻腔口腔を抜けて脳内にまで駆け上がってくる快楽に浸りながら、はーっと力が抜けてうっとりする。覚醒的だが刺激によって目覚めさせるのではなく倦怠感や疲労感そのものを中和させてしまっているような感じがする。美味い酒もそうだが、美味いコーヒーも飲みながら本を読んだりスマホを見たりできず、それを飲むことしかできなくなる。

大手町へ移動、妻がメガネを新調するのに付き合う。その後軽くアルコールで休憩して会計したら、八重洲地下街の福引キャンペーン中で3千円の買い物につき一枚のくじ引き券が付くので、権利を一回分ゲットした。さらにあと六百円ほど買い物すればもう一回分の権利ゲットも可能である。そうかそれなら、ちょうど家で飲む酒もないことだしと思って北側の端にある酒屋へ行く。ここから迂闊だったのだが、会計したら三千百円ほどで、この支払額だとふつうにくじ引き権利を一回分ゲットして、既存の二千四百円分が二千五百円になっただけだ。ばからしい、意味ないじゃないか。仕方ないので、隣のコーヒー屋さんにも寄ってコーヒー豆も買う。これで端数も三千円に届き、都合くじ引き権利三回分を得た。そして福引会場へ向かう。じつをいうと我々夫婦は、こういうのをやる機会はあまりなくて、くじびきどころか普段のポイントだのスタンプだのもほぼすべて無視した生活を送っているので、そういう二人がたまに慣れないことをやると、ちょっと間違うと凄い賞品を手に入れたりしないものか、するんじゃないだろうかという淡い期待もあったことは告白しておくが、結果的には、小さなポテトチップスとビスコの箱と三百円の商品券が当たった。完全なハズレがなかったことを鑑みると、上々な成果と言って良いのだろうか。

帰宅後、圧力鍋でつくるお料理第二段として白モツ味噌煮込みを作成。白モツは二度加圧加熱。それ以外は一度の加圧で、味噌に定番の各種調味を加えて、かなりふつうにお手本通りの作り方で。そして、出来上がったそれが美味しい…。とにかく加熱具合は今までではありえないほどすべての食材は煮込まれまくっている。これって…居酒屋の僕好みの煮込みとほぼ同じ味わいじゃないか…などと本気で考えてしまうほどだ。