あなたみたいに美しい女性が、どんな人生を送っているのかに興味があるんですよ

面白いか面白くないかわからない話、今してみてもいいですか?って言うから、何かと思ったら柔道着に柔軟剤の話だったっけ。柔道やってる男子高校生はみんなすごくきれい好きっていうか、汚れとか汗とか匂いに異常に敏感で、柔道着もそれぞれ好みの柔軟剤で洗ってるから、寝技とか閉め技を食らってるとき、相手の柔軟剤の匂いがやたらといい匂いで、完全に技が決まってて、もう意識が落ちる寸前なのにいい匂いだから、このまま死んでもいいかもって話を聞いたときは笑ったけど、たしか新橋のバーで、最近働き始めた若いやつが言ってたんだけど、あいつの話、その柔道着の下りは笑ったけど、全体的には面白くなくって、若いやつ特有の、締まりのない、だらだら続く話し方で、ほんとうに無駄な駄弁りを黙って聴かされてる感じだった。今後もあの調子で喋られたら、ちょっとかなわねえなあと思うような。まあ若いっていうのは、そういうことでしょうけどね。若いのに話が上手いなんて、そっちの方が嫌か。全然関係ないけど自分がまだ学生の頃、バンドをやっていたんだけど、まあバンドの話はどうでもいいんだけど、当時練習は上野周辺でベーシストが近くに新しいバイト先を見つけて働きはじめたばかりで、そこバーだから皆も来れば?と言うので行ってみたら、けっこうカッコいい店で薄暗くて如何にもバーって感じのカウンターの奥にそのベーシストがいてグラスを磨いてて、そのベーシストって背がでかくて頭もでかくて、なんかのっそりとデカイ熊みたいな雰囲気の男で、そんなやつがやたらとカッコいい店でバーテンダーみたいにして立ってるのが、もうあまりにも似合わなくて愕然としたんだけど、でもベーシストの向かいには派手な色のスーツを着た、如何にもいい女でしょって感じの髪の長い女が座っていてベーシストと楽しげに喋っていて、はあーなんだか何もかもがチグハグだと呆れたんだった。たしかちょっと喋って、近くの病院で看護婦してますとか言って、あー看護婦ってそうなの。仕事終わるとそういう服装になってバーとかで呑むんだよ、そうそう、たしかにと思って、店を出てからそんな話をしてたら、バイトから上がったベーシストがさっきの看護婦じゃなくて自分の彼女と一緒に後から来て、その彼女がまた目茶目茶キレイな子だったので、なんであの人の周りは美人ばっかりなのかっつってガックリきたことがあったわ。