母と子

たとえば女性が出産するのに限界と云われる年齢があって、ある女性がその年齢を越える前に子供をもつという決断をしたとして、そのときはきっと結婚とか家庭よりも子供をもつことが最優先なんだろうけど、そう思う気持ちはわかるしそれでかまわないと思う。生む前も生んだ後も、お母さんは体力的にもそうとうがんばらないといけないだろうけど、でも子供はきっと、適当にほっといても勝手に育つと言えば育つんじゃないか、今はなかなか平然とそう口にし辛い世の中だろうけど、それは実際、勝手な物語のようにどこかへ飛んでいってしまうのを見ているだけみたいなものじゃないか。でもやっぱり出産における年齢の壁は現状あるだろうけど、このまま医学や科学の発展で、女性の出産年齢も、もっと上がっていくのだろうか。その点、男性はあまり年齢関係なく子供はもてるのかもしれないけど、それでも仮に僕が今から子供をもつなんて想像もつかない、そんなことは、思いもよらない。そのときに何が生まれてくるのか、なにかわけのわからないおそろしいものが、あらわれてしまいそうな気がする、などというといくらなんでも自分を特別視しすぎに感じられるかもしれないけど、でもおそれをともなわずにそれを想像するのはむずかしい。僕はひるむような思いでとりとめもなくそんなことを喋っている。妻はいつものように笑いながら相槌をうち、のんびりした口調で言葉を返した。夕食のあと、やけにだらだらといつまでも雑談がつづき、めずらしいことにそのまま対話が深夜におよんだ。