北陸

先般の台風19号の影響で、来月予定の旅行において北陸新幹線の利用が今のところ難しいようだ。あと半月もすれば通常運行に戻ってるかもしれないが、そうじゃなかったら困るので、今回は飛行機を利用することになりそうだ。しかし飛行機は個人的にわざわざ好んで利用したくはない移動手段で、乗るとしたら僕はたしか前回、岡山に行ったとき以来だから十年ぶりになるのか。いや、その後仕事で乗ったかもしれないけど、よくおぼえてないけど、なにしろ久しぶりだ。思い浮べたときにどうも気が塞ぐというか、ため息をつきたくなるような、たとえば内視鏡検査の前日とか、採血する直前とか、そういうときの気分を思い出させるのが、僕にとっての飛行機搭乗ということなのだが、まあ仕方がない。背に腹は変えられない。
ところが飛行機のチケットなんて、どこに売ってるものをどうやって買えば良いのか、まるで忘れてしまったので、ランチのときに、実家帰省時はいつも飛行機らしい隣のゲーマー女子に聞いてみたら
「航空会社のウェブサイトから買えますよ。」とのこと。
なるほど飛行機のチケットは航空会社に売っている、これは道理だ。うたがいようがない話である。
「でも僕の記憶が正しければ飛行機はチケット買ったら即乗れるような簡単な乗り物じゃなかったはずだけど、乗る何時間も前から準備を済ませて、万全の心構えを航空関係者の人たちにアピールする必要があるでしょ?」
「いえいえいえ、それは無いです。」
「そうなの?でも出発の三十分前に空港に着くとかじゃダメでしょ?」
「はい、ダメです。それだとたぶん乗せてくれません。」
「それで払い戻しもしてくれないでしょ?」
「はい、してくれません。」
「だったら乗る一時間も二時間も前に行って、荷物のチェックとか色々されて、離陸までじーっと待つんだよね?」
「はい、そうです。」
「そんなの、面白くないねえ。」
「まあ、そうですね、でも待合の場所にも色々あるし、カフェとかもあるし、その時間も旅行の時間だと思えば…。」
「うーん、まあそうか、ならば、そう思うことにしようか。でも、飛行機って事前にやたらとそうやって調べて、怪しいヤツはいないととりあえず納得して、さあ連帯責任ですよって、この中からひとりも脱落者のいない、あるいは運が悪いと全員脱落するような旅ですよって、早い話が、乗客乗務員全員一蓮托生ですよって、生きるも死ぬも皆一緒ですよって、事前にたたきこまれてる感じが、すごく嫌じゃない?そんなの聞いてないよ、たくさんだ勘弁してよとか云いたくならない?」

「そんなこと思いませんねえ。それは考えすぎですって。」