お香

外出にはうってつけの晴天だが、妻は風邪が治らず自宅静養で、こちらも朝食のあとうつらうつらと居眠りしたり音楽をかけたり、立ったり座ったり落ち着きなく目的も欠いた漫然とした時間を過ごす。そんなときに部屋でお香を焚くのは好きで、最近はほぼ毎日焚いている。ただし市販の、アロマ系用品などの傍に売ってるような香りの強いやつは、僕には軒並みダメで、昨年だか一昨年あたりに亡父の知り合いからたまたまお贈りいただいた、地味で渋めな檜っぽく香るやつが、好みとしてはもろにストライクゾーンで、以来そればかり使っている。代替は効かなくて、ほんとうにこれ以外のお香はまったく受け付けないと言って過言ではない。しかしそのお香も残り数本になってしまって、購入できる店舗を探したら横浜に取り扱い店舗があることがわかった。横浜の、なぜか、なんとなく記憶にある店だと思ったら、ここはかつて父の位牌を購入した店だった。まさか再びあの店におとずれることになるとは思わなかった。