オンライン

残念ながら短期で去ることになったゲーム女子と小さな送別会をひらいてお別れした。

ゲーマーは、そのゲームの世界観が好きで、それに賛同する仲間たちとのひとときが好きである。彼女らはSNSを使ってやり取りしながらチームプレイして、戦果を分け合いアイテムを入手し感想を言い合って、お気に入りキャラクターのセリフを語って、好きなイラストを紹介しあい、また翌日にログインする約束を取り交わす。彼女の今にとって、それらの時間がほぼすべてで、それ以外のことに意味も価値も見出せないし、見出す気もあまりない。不満や不安ややりきれなさや悲しさとかはべつにない、よろこびもない、予想外な幸運の到来に期待するわけでもなく、突然ぼやっとした不安にかられて保険の各種商品を調べはじめるようなこともない。会社からは、うるさいことを言われもするし、些細な面倒ごともないではないけど、あまりまともにかかわる気も、気に掛ける気もない。家に帰って、コンビニで買ってきたごはんを食べて、甘いカクテルのお酒を飲みながら、アプリを起動したら仲間がすでにオンラインだ。それを確認して、いくつかのメッセージを打ち込んで、またいつものようにその場所へ行く。

ちなみにIHです。でもうちのIHは火力けっこう強いです。IHは使ってないとき上に物を置けるから便利なんですよ。キッチンむちゃくちゃ狭いんで物置けると助かるんですよ。

僕は結局、この女性と一か月以上ランチの時間を一緒に過ごして、今宵の送別会でお別れしたのだが、これを書いてる今、現時点において彼女はすでに僕のことを忘れてしまったのではないだろうか。明日になれば、もう何事もなかったかのようにその生活は引き続いて、もう彼女にとっては僕の存在していた事実さえ怪しい。もちろん僕も、これを書いてその後しばらくしたら、君を忘れてしまうかもしれないが。

しかし、おそろしいことに、この世に両者とも存在している。