金曜夜

これから夜半にかけて雪が降るかも…との噂を聞く。会社を出て歩き始めたけど、そんなに寒いとは思わなかった。まあ寒いことは寒いか。それでもさほどではないと思うけど。

久々の店に行ったら驚いたことに店内無人で、暇そうにしてたスタッフの二人が入って来た僕を見て、おおー!っと声を上げた。今日なぜかすごいヒマなんですよ、どうなってんのかな?駅前とか人いました?と聞かれて、へーめずらしいですね、そう言えば駅前も通りも人少なかったかも。千代田線も空いてたかもしれませんねえと答える。金曜の夜なのにねえ、雪降るっていうからみんな警戒して早く帰るのかなあ?とかなんとか云うけど、まあ実際そうなのかどうかは知らないけど、お店というのは不思議なことに、なぜかぽっかりと、誰も来ない時間というのがたまにある。賑やかな金曜の夜とか、満席を警戒するならともかく、無人なんてまずありえないでしょうと思われる日に限って、そんな瞬間がある。たぶん理由はなくて、移り行くお天気の変わり目みたいなもので、そういうものだというのは実際、店側が誰よりもよくわかってるはずだし、客側としてもそんな日に出くわすことはけして珍しくない。なんでだろうねえ不思議だねえと口では言い合うけど、まあそんなものだろうとお互い内心は思っている。でも、だったら今夜もなんとかなるだろうとあらかじめ甘く考えてると、そう上手くはいかない、何軒続けて電話してもぜんぶ断られる、みたいな夜もある。だから喩はよろしくないけどいわばお手洗いみたいなものだ。予約できるならした方がいいけど、でも僕の場合いつもよおすかが、わからないからなあ。