内外

外で呑むお酒と、家で呑むお酒と、どこが違うの?同じお酒だったら、家で呑む方が安くていいじゃん、なぜわざわざ外に行きたがるのか?と問われて、いや、それは僕も考えたことはある。この前だって夜道を歩きながら、ひたすらそのことを考えていたのだ。そしてとりあえず至った結論として、外で呑むお酒と家で呑むお酒は違うということになった。それは同じでも、やはり違うのだ。但しどちらが良いとか悪いとか、そんなことではなくて、ただ違うということだ。たぶんお酒は違わないのだけど、それを呑む人間の方が家と外とで違っているのだ。感覚が違うのだ。というよりも、家と外とを行き来している状態に対して、お酒を注入したくなるのだ。違う次元へ移るときの感触を和らげたいのか、いや違うな、お酒が、飲酒という行為が、違う次元に移るときの感触そのものなのだ。しかし酒のことで、こうして愚にもつかない理屈をいつまでも捏ねているのは、我ながらじつに馬鹿なことだなと言った。