ガチャガチャ

おもちゃ売り場とかスーパーマーケットの片隅とかに並んでいる、お金を入れてハンドルを回すと丸いカプセルに入った何かがゴロっと出てきて、中にはキャラクターのフィギュアとかが入ってるアレ。僕にはまるでわからない、よく知らない世界の話だが、ああいう玩具を夢中になって集めている人は年齢問わず多いらしくて、あろうことか僕の隣に座る上司もそんな人だったことを今日知った。月曜日と、一昨日にこれをゲットして、で、昨日出たやつがこれで、一回り大きくて、これは「当たり」だったとか何とか、成果を眺めながらまんざらでもなさそうな顔をしていて、思わず言葉をうしなう。…これ集めて、、どうするんです?と、まるで妙なものに夢中になっている子供に対して頭ごなしに無理解を示す親御さんのような態度をとってしまった。…いやたしかに、だれが何をほしがって何に夢中になるかなんて、その人の勝手だしいくらでも好きなようにして良いはずだしその自由こそ尊重すべきだとは理解するのだが、…それにしてもこれは・・「こんなもの」に夢中になれるとは…。と、自分の無意識化の根底にある頑なな偏屈性・認識外への無理解性が、いままさに露呈しているのだった。それでも表面上は苦笑いの体で、いやいやいや、まあわかりますよ、きっと集め始めたら躍起になってコレクションをコンプリートしたくなるんでしょうからねとか、とってつけたような言葉でありあわせてその場をやり過ごそうとして、でもこれって、一回いくら掛かるんです?と軽い気持ちで聞いたら、一個四百円だと云うその返事を聞いて、おもわず本音の「えー!?」という悲鳴に近い嘆息が出てしまった。四百円だって??信じがたい。カジノで一晩に何百万円使いますとかの言葉と同等に近い重みを感じ取ってしまう。この世にこれほど深き退廃・ニヒリズムも、そう無いのではと思わせる、たかだかこんなものが、四百円だとは…。それを何度も何度も、気に入ったものが出続けるまでひたすら投下し続けながら無表情に待つとは…。聞けば上司の投資額など世間の相場に較べればまるでかわいいものであり、所謂「ベテラン」、もはや末期症状みたいな酷い状態の患者が月々に投下する額は桁がマル二つも違うとのこと…。すごい話だ。これだから世の中はわからない。四百円あったら、安い立ち飲みならラクに一合呑めるのになあ…。