素質

想像とか、妄想とか、空想するとか、というのは、じつはそれなりに図々しい性格じゃないと出来ないことだ。「自分勝手で、自分に都合の良い、甘い考え」をもつこともそうだ。さすがにそんな上手い話はないでしょと、冷静になってから自分で自分に突っ込みたくなるような考えだったとしても、しかし人は意外に、ふと気を許した隙に、そんな考えに囚われたりすることもある。もちろんそれは自身の内面だけにこっそりと広がったイメージに過ぎないことがほとんどだろうが。なにしろ、そういう自分勝手さ、いい加減さ、お調子の良さ、図々しさ、言い方を変えれば、楽天性、呑気、鷹揚、無計画、性善説…といった「ゆるさ」というか「あそび」の部分が、多い人と少ない人がいて、とくにそれが多い人は、世間では「ちょっと困った人」にとらえられがちなところもあるが、そういう人じゃないと「作品」はつくれない。「作品」なんかつくれなくても良いのかもしれないが、自分の内側に、自らを幸福にしてあげられる装置をもつことが「作品」をつくるということだとしたら、やはり誰もが「作品」はつくれた方が良い。