ライブ映像

2015年の東京ジャズは当時ステージの一部が後日テレビ放映されたが、その録画したものをうちの妻はけっこう気に入っていて、以来これまで数えきれないほど何度も再生していて今日も聴いていたので僕もつきあった。とはいえ菊地成孔とリチャード・スペイヴンがゲストのKYOTO JAZZ SEXTETと、エスペランサ・スポルディングと、彼女が聴いてるのはおおむねその二曲ばかりなのか今日がたまたまそうだったのかはわからないが。そういえば僕も大昔、1991年のLive Under The Skyがテレビ放送されたときの番組を録画したVHSは、呆れるほど繰り返し再生して何度も聴いた。これもマーカス・ミラーの演奏(これhttps://www.youtube.com/watch?v=NsCdilxs-B0 の8分過ぎまで)とハービーハンコックやウェイン・ショーター達のバンド(9分すぎから23分くらいまで)、ほぼその二曲ばかりを聴いていただけだが。しかしマーカス・ミラーはなぜあれほどまでにムキムキなのか…まあ、最初からそういう人だからだけど、でも昔はそういうことにまるで関心がなかったがゆえに、今更そういうことが気になるのもどうかと思うが…、それはさておき、ここでの演奏がとりわけ白眉なものであるとは思わないし、人に薦めたいわけでもないが、なぜか自分だけはドップリハマってしまう演奏というのはある。粗削りで録音状態の良くないライブ盤のある一曲なども、たまにそうやって異様な偏愛状態に陥ることがある。

まあ昔の音源はさておき、しかしエスペランサ・スポルディングの演奏してる映像はどれを観てもすごい。Youtubeにもたくさんあるけど、どれもあっけにとられる。まずワケの分からない、ちょっとイッちゃってる感じの小芝居の、観てる方がやや困ってしまう感じがすごい。人間としての「濃さ」というか、才気走った若い女性っぽい、やや思い込み過多な感じ、これはついていけないと感じる向きもあろうかと思う。(エスペランサに較べれば、中村佳穂はまだずいぶん「こちら側」だ。)しかし当然ながら演奏自体はすさまじい。ベーシストでそういう人は多いが、なぜあれだけ歌いながら、あんなベースを弾けるのか。曲がメンバーとのセッション状態に突入したときの、もう完全に己が身体がそのまま有機音楽体と化してグルーブを推し進めていくときの、もう殺しても止まらないかのような無敵さ、そのすばらしさは筆舌に尽くしがたい。かわいいし天才だし、非の打ち所がないとはこのことだ。実際のライブ観てみたいけど、この人はどうせ来日してもチケット瞬殺だからな。