トップ・ハット

マーク・サンドリッチ「トップ・ハット」(1935年)をDVDで観る。新聞を広げて顔を隠してるフレッド・アステアが「バンド・ワゴン」の冒頭を思い出させる。砂を床に撒いてのステップも出てくる。二人がダンスしてればそれで誰もが幸せ。それにしてもジンジャー・ロジャース…、なんという身体の細さ、CGかと思うほどだ。全編、最初から最後までダンス・シーンが惜しみなくちりばめられている感じで「コンチネンタル」と比較してもオトクな感じがする。何よりもウッディ・アレンカイロの紫のバラ」におけるラスト・シーンの主人公が失意と絶望の淵で目に涙をいっぱい溜めつつ映画館の客席に一人で座っていて、しかしこの世のものとは思えないほど豪華で華麗なダンスシーンを観るうちに次第に心奪われて、やがて恍惚とした微笑を浮かべる、あの「これまでの映画に出てきたもっとも切ない顔」の歴代トップ5に入りそうな場面、あのミア・ファローが泣きながら観ていた映画こそ本作である(この前youtubeで何時間もジンジャー&フレッド鑑賞会したときに発見した)。