ベルメール

エゴン・シーレは1918年、28歳のときにスペイン風邪で死去したのだった。その数年前、第一次世界大戦時はオーストリア=ハンガリー帝国軍に従軍もしている。

そういえばハンス・ベルメール、その名前を思い出したが、シーレとは何の関係も、連想の脈絡もないのか。しいて言えば、どちらも僕が高校生くらいのときに知った芸術家だということ。リブロポートから写真集や画集が出ていたから、両者が関連しているように思うのだろう。

ベルメールは1902年にドイツで生まれた。シーレよりも12歳若い。かの有名な人形を作り始めたのが1933年頃とのこと。のちにはナチス政権下のドイツを離れ、パリで活動する。

久しぶりに、ハンス・ベルメール写真集をぱらぱらと見ている。すごい。1950年代後半までこんな写真を元気いっぱいで撮ってるのか…。これは、ほんものの変態だ。もはや誰にも止めようがない、いかんともしがたい、手の施しようがない、まごうかたなき真正の病人である。それとも、もはや二十一世紀にもなったら、この程度に変態な人ってじつは世の中にたくさんいるのだろうか。いるのかもしれないな。彼らに幸あれ、徹底して病気であること、その尊さを思う。