雨が路面を強く打ち、風が猛烈な勢いで通り抜けて路肩の木々を揺らしているのが、ビル窓際から見下ろしていてよくわかった。ひどい天気だ、夜までに雨が止んでくれないと厄介だ…と思っていたら、幸運にもその後ほどなくして、雨があがる。待ち合わせ時間になり、ビル入口前の交差点にタクシーが停まってトランクが開く。段ボール二箱を男二人で運び込む。そのまま準備してあった大荷物をふたたび担いで、さっきの交差点に出てタクシー拾って一駅先のビルに向かう。搬入して各種セッティングする。だいたい時間通りに終わる。建物を出て、電車で元のビルに戻った。入口手前の交差点で、頭や肩に強めの雨粒があたった。また降り始めたのだ。しかも日中並みに、風と雨脚強めの気配だ。歩く人々の挿す傘が、風に逆らって斜めになる。スカートがばたばたとあばれるのを手で抑えている女性、鞄から傘を出す人、軒下を探す人、ビルから出てまた戻る人、あきらめてそのまま歩く人、自動車のヘッドライトに照らされた雨の白い縦線。