名前

バンドとか、チームとか、会社とか、ペットとか、子供とか、そういうものたちに、名前を付けるということを、もう久しくやってない。コンピュータ名なんて、名付けとは言えない。毎日書くブログの題も、それを名前とは思わない。名前を付けるべき何かに出会ったとしても、名付け元の存在になるのを回避したいとの考えが、どこかにあるのかもしれない。たとえばその猫に、名前を付けても付けなくても良いとする。この猫はすでに、はっきりとこの猫であるから。名前なんか無くても良い。単に「猫」と呼べば良い。それで僕と周辺の人間の範囲内では充分に通じる、のだとする。

僕は猫を飼ってないが、たとえばそうだったとして、だ。

猫に「猫」と名前を付けて、おまえにその「猫」でいてほしいと思っている。それ以外のとくべつなおまえではなくて、おまえは猫だ。名前を付けないまま、おまえを呼びたいと思ったのだ。名前ではなく、おまえを呼びたい。名前を付けて、その名前の中に、もう一つのおまえができることに、抵抗を感じるのだ。猫に「猫」と名前を付けて、この猫に名前を付けなかったと、自分のことを考えたい、そのことを優先したいのかもしれない。「猫」とさえ名付けないことも、出来るのかもしれないが、おそらく自分には無理だ。ほんとうならそうした方が、より自分の理にかなう気もするのだが、さすがにそれだと、おまえをかえって不幸にしてしまうかもしれないから。


付記:7/20付で書いた文章が今日と同じ「名前」という題であることにさっき気付いて、読み返して、マジで驚愕した。何かの間違いではないかと思った。こんな文章を書いた記憶は、全くない。なにか、恐怖に近い感覚をおぼえた。まだ、先週のことなのに…。