水量

室内ではまったく気づくことができないのだが、ふと窓の外を見ると、ウソみたいな勢いで雨が降っているので驚いて、しばらくの間窓際に貼りついて見入っていた。降っているというよりも、ビル全体が巨大な洗車施設の中に入ったみたいな、信じられないほど猛烈な水量が、真っ白な煙を上げて斜め下へ向けて落ちていく感じだ。水の音はぜんぜん聴こえず、まるでテレビのボリュームをゼロにしたまま、大きな滝の水飛沫が飛び散っては消えゆく映像を、ぼんやりと眺めているときの印象に近い。無数の諧調に明るさのグラデーションを増やしながら、流れてまとまったり離れたり砕けたりする水の動きに、生き物の意志のようなものが見えた気がして、それに無言のままで魅入られている状態。。しかし見渡す限りの景色すべてが、今落ちてくる水に濡れている状態というのは、よくよく考えるととてつもない状態だ。いったいどれだけの水量なら、同じだけの状況を再現できるのか。人工的に再現できることとできないことの単純な違いとして、まずはこのスケール感がある。数百メートル四方とか、それだけでももはや人間の制御がまるで効かない広大な領域と言えて、雨を降らすだなんて夢のまた夢だろう。なにしろすごい。単純に量が破格にすごい。