今が一番いい季節かもしれないと外を歩きながら思うことがある。暑さ寒さの丁度良さと、光と影のコントラストの丁度良さだ。いちばんの気候の良さ、それは快適には思われない気候のときに思い浮かべる、身体負荷のほとんどない柔らかで安らぐような季節のイメージで、それがイメージ通りになったのが今で、イメージと事実が一体となっているにもかかわらず、そのことを、それが当たり前のように平然として過ごしている、そもそもイメージと事実に食い違いがあったことを忘れている。その過去の記憶が消失して、今しかない。今しか持たないことのぜいたくさ、歴史的で線的な存在であることを他人事であると思える楽天性、その幸福に自分が気付いてない。そんな自分自身を上位視点からありがたいと感じているような。病気になってはじめて健康な身体の貴重さをかみしめる気持ちを、逆に健康なときから逆算して感じてみようとするような、まわりくどく手の込んだ味わい方で感じている、この今の季節としての今。