銃撃されて、生き物は重傷を負う。または死ぬ。銃にはきわめて高い殺傷能力がある。火薬を用いてあの小さな鉄の弾を対象に撃ち込むことで、その生体に致命的なダメージを負わせることができる。それに気付いたなんて、すごいことだ。とはいえそれを、ある日突然、思いついたわけでもないだろう。これまでの、石や弓矢を使って得た経験と知識をもってすれば、そんなことはだれでも思いつくことだったのかもしれない。刃物は、殺傷に用いることもできるが、本来そのための道具ではない。しかし銃はちがう。銃を殺傷以外の目的に用いることはおそらくほぼない。銃ははじめから、殺傷の道具として作られ、改良され、洗練された。その小さな弾丸によって、身体に小さな穴が空いただけで致命的だなんて、よくよく考えてみると不思議だと思わないか。小さな穴の二、三個が身体に穿たれたくらいで、べつにたいしたことではない、しばらく安静にすれば、じきに塞がる。人がそんな仕組みだったら良かったのに。やはり哺乳類は、組織として精密で精巧過ぎるのだ。血液の循環や神経組織のはたらきが常時稼働率ほぼ100%であまりにも活発で高性能に過ぎるシステムなのだ。だからどうしてもトラブルに弱い。全停止までの猶予が無さ過ぎる。だから銃に弱い。無脊椎動物に学ぶべきか。