室内

芸大美術館の陳列館で「日比野克彦を保存する」を観た。

(https://hibino-hozon.geidai.ac.jp/)

複数の人々によって撮影されたアトリエにいる滝口修造をとらえた写真群が印象的だった。もちろんこの部屋と本人、共に有名でどこかで何度も見たことがあるけど、それにしてもまあなんてカッコいい人と部屋だろうと、思わずじっと見入ってしまった。

そしてやっぱり、パソコンというのは、無粋なものなんだなあ…とつくづく思った。あれが人々の部屋に入り込んできたおかげで、こういうアトリエや書斎というものが、絶滅してしまったんだろうなと。あと、喫煙の習慣というものが、この世から抹殺されかけているせいでもあるような気もする。いずれにせよ、もうこのような部屋の住人として生きることは、もはや誰にもかなわなくなってしまったのだろう。

(たぶん、パソコンだけなら、そこまで酷いことにはならなかったのだと思う。タイプライターやワープロの仲間みたいなものに過ぎないのだから。やはりインターネットに接続してしまったことが致命的だったのだと思う。接続しても良いけど、せめて自室からの接続は、やめておくべきだったのかもしれない。自室というものを壊してしまうということに、早く気付くべきだったのかもしれない。せいぜい特定の公衆電話回線からのみ接続するとか、ネットカフェでなければ接続できないとか、そういう世の中であってくれれば、まだマシだったのではないか。)