二本立

CSチャンネルで放映されていたマイケル・チミノイヤー・オブ・ザ・ドラゴン」(1985年)を観た。チャイニーズ・マフィアの若き親分であるジョン・ローンに、ポーランド系でベトナム帰りのNY市警ミッキー・ロークが挑む。これが日本公開された当時、歌舞伎町の映画館に一人で観に行った記憶がある。アクションと残虐殺人シーンが当時は鮮烈だったけど、今観ると、なんともすごい、かなりひどい話である。ニューヨークの内部に巣食う腐った内臓のようなチャイナタウン=アジアの混沌を、徹底的に駆逐・洗浄したい本能的な衝動というか、ベトナムでやり残したことを再び…という感じだろうか。そのわりには倦怠期の奥さんがいいタイミングで殺されたり若い記者の恋人とはいい感じだったりと、ミッキー・ローク的にはなかなかご都合がよろしい。そもそもマフィアのジョン・ローンもけっこうやることが雑というか、こんな仕事の仕方だとほっといても自滅しちゃうんじゃないかと思うくらい浅はかなところがあって、最期はほとんど自暴自棄の自殺みたいな終わり方で、何とも気の落ち着きどころに困る話だ。さいきんわりと日本の私小説を読んだせいか、だらだらとだらしなく流れに任せて周囲に迷惑をかけつつ自分自身にふんぞり返ってるだけみたいな傾向のキャラクターにこの登場人物たちが被る感じもある。

あとライ・クーダーによるサウンドトラックをたしかめたくて、Youtubeウォルター・ヒル「クロスロード」(1986年)を観た。日本語字幕無しだったけどあまり問題なし。この映画も高校一年のときに観て以来だが、やはりへんな映画だ。やりようによっては、より渋く深味の効いた話にもできたであろう題材を、あえてギター少年や勝負好きな子が見て楽しめる娯楽作に仕上げましたという感じか。とはいえブルースの聖地でもあり旅の目的地でもある十字路に辿りつくと、伝説の再来であるかのように、謎の黒人がどこからともなくやって来て、契約書にサインを求められ、行き着いた先のライブハウスで熱狂する黒人観衆の見守る中、なぜかステージ上でスティーブ・ヴァイがギターを弾きまくっているというのは…。

へんな映画ばかり続けて観てしまった。